4年ぶりに球宴へ返り咲いたクリス・ポール「僕自身が自分に対する最も厳しい批評家」

自分自身に対して、誰よりも厳しくしてきたことで、オールスターの場へと舞い戻ったポール[写真]=Getty Images

「僕はここにいる選手たちの誰よりも自分自身を追い込んでやってきた」

 コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)への追悼が込められた「NBAオールスターゲーム2020」は、近年にはない真剣勝負が展開され、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)率いるTEAMレブロンが大激戦の末に157-155で勝利を収めた。

 この日のオールスターゲーム コービー・ブライアントMVPアワードは、ゲームハイの30得点に7リバウンド4アシスト2スティールをマークしたカワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)が受賞。さらにキャプテンのレブロンが23得点5リバウンド6アシスト2ブロック、決勝点となるフリースローを沈めたアンソニー・デイビス(レイカーズ)が20得点9リバウンド3スティール3ブロックをマーク。

TEAMレブロンの一員として、第4クォーターの追い上げに大きく貢献したポール[写真]=Getty Images

 今年のオールスターは24選手のうち、約半分にあたる10名が初出場を果たすなど、フレッシュな顔ぶれになったのだが、4年ぶり通算10度目の出場となったクリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー/TEAMレブロン)の存在感も見事だった。

 9点ビハインドで迎えた最終クォーター。ポールは決定力の高い3ポイントを何本も放り込み、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)がキャプテンを務めるTEAMヤニスへの追い上げに貢献。その後レブロンやレナード、デイビス、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)というスターター陣と共にコートに立ち、逆転勝利の立て役者の1人となった。

 ポールは25分31秒のプレータイムで23得点6アシスト。フィールドゴール13投中8本(うち3ポイントは11投中7本)を成功。オールスターゲームとは思えないほどの真剣勝負の中、出場時間帯における得失点差では両チームトップの+13を記録。ベテランとして抜群のインパクトを放っていたと言っていいだろう。

 昨夏のトレード相手となったラッセル・ウェストブルック(ロケッツ)のロブパスをボースハンドダンクでたたき込むオールスターならではのパフォーマンスも健在で、リーグ屈指のポイントガードであることを証明。

 試合後、多くの人がオールスターの舞台に戻ってくることに懐疑的だったこと、そういう人たちが間違っていると証明させるために重要なことは何かと聞かれたポールは、こう切り返していた。

「僕はそういう人たちのことを考えたりはしない。僕は自分自身のことを考えてた。つまり、僕自身が自分に対する最も厳しい批評家なんだ。僕はここにいる選手たちの誰よりも自分自身を追い込んでやってきた。僕にとっては旅路のようなもの。ハードにトレーニングをして、この年(34歳)でもできるんだと信じてやってきた。ブロン(レブロンの愛称)を見てくれよ。毎年、(批評家は)スローダウンしていると言ってるけど、あのとおり(健在)なんだよ? つまり、自分自身と競い合っていくことがより重要であり、誰が何と言おうが気にしないことだね」。

 ロケッツでプレーしていた昨季、ポールはいずれもキャリアワーストとなる平均15.6得点にフィールドゴール成功率41.9パーセントに終わっていた。ところが今季はここまで平均17.4得点にフィールドゴール成功率48.5パーセントにまで復調。残り5分で5点差以内のクラッチタイムではリーグトップの得点を残すなど、サンダーを大激戦のウェスタン・カンファレンスでプレーオフ出場圏内(6位)まで押し上げる原動力となっている。

 今季のパフォーマンスを見れば、“ポイントゴッド”と評される男がオールスター入りするのは当然であり、球宴の舞台でその実力を改めて見せつけたと言っていいはずだ。

サンダーを束ねるリーダーとして、ポールは見事なパフォーマンスを見せている[写真]=Getty Images

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