ヤニス・アデトクンボが昨夏断行したベテランのウェスリー・マシューズ勧誘を振り返る

リーグトップの戦績を残すバックスでスターターを務めるマシューズ[写真]=Getty Images

リーグベストの戦績を残すチームで“3&D”としていぶし銀の働きを見せる

 昨季リーグトップの60勝22敗を記録したミルウォーキー・バックスは、イースタン・カンファレンス・ファイナルでNBAチャンピオンとなったトロント・ラプターズの前に2勝4敗で敗れてシーズンを終えた。

 その後、昨夏のフリーエージェント(FA)戦線でマルコム・ブログドンがインディアナ・ペイサーズへ移籍。ドラフト指名したケビン・ポーターJr.(現クリーブランド・キャバリアーズ)、スイングマンのトニー・スネルをデトロイト・ピストンズへ放出し、ジョン・レウアー(その後に解雇)を獲得。

今季の3ポイント成功率は37.1パーセントと、マシューズはまずまずの数字を残している[写真]=Getty Images

 バックスは今季に向けて、FAのロビン・ロペスやカイル・コーバー、タナシス・アデトクンボ、そしてウェスリー・マシューズと契約。今季途中にはベテランのマービン・ウィリアムズをロースターに加え、リーグトップの戦績を残している。

 レギュラーシーズンも終盤戦に差し掛かろうとしている3月5日(現地時間4日、日付は以下同)、昨季シーズンMVPに輝いたヤニス・アデトクンボが昨夏マシューズを勧誘したことについて『The Athletic』へ振り返っていたので紹介したい。

 まずはアデトクンボがマシューズへ電話をかけたものの、ワークアウトしていたマシューズは電話にでなかったという。するとすぐにマシューズから折り返しの着信があったようだ。アデトクンボは言う。

「彼にはこう言ったんだ。『あなたはディフェンスができる。相手を仕留めるショットを沈めることもできるし、最高の人間でもある。何よりもすばらしい人間性を持ってる。あなたならこのチームの向上を手助けできるさ。でも今のところ、あなたはチャンピオンシップを勝ち取ってはいないよね? 僕も同じです。だから僕らは、同じグループとしてつかみにいくべきです』とね」。

大黒柱のアデトクンボ(左)と、先発バックコートを形成するブレッドソー(中央)とマシューズ(右)[写真]=Getty Images

 マシューズはドラフト外からはい上がった苦労人で、ユタ・ジャズからキャリアをスタートさせ、ポートランド・トレイルブレイザーズでは5シーズンもの間、先発シューティングガードとして活躍。昨季はダラス・マーベリックス、ニューヨーク・ニックス、ペイサーズの3チームでプレーし、平均30.3分12.2得点2.5リバウンド2.3アシストをマーク。

 33歳となったマシューズは、今季バックスで先発シューティングガードとしてプレーしており、ここまで59試合に出場して平均24.6分7.6得点2.6リバウンド1.5アシストを記録。3ポイント成功率は37.1パーセント、成功数も平均1.7本とまずまずで、タフなディフェンスも光るキャリア11年目のベテラン“3&D”は、優秀候補バックスで名脇役を演じている。

 2月29日に47点差でオクラホマシティ・サンダーを下した後、マシューズは会場インタビューで「俺たちは勝利することに飽きることなんてない。それは(チームとして)向上すること、小さなことを積み重ねていくことについても同じこと。この瞬間、そしてプロセスを楽しんでいるんだ」とバックスでプレーすることに喜びを感じていた。

 5日に行われたペイサーズ戦でも、マシューズは7投中3本の3ポイント成功を含む15得点に4リバウンドを奪い、今季53勝目(119-100)に貢献。アデトクンボやクリス・ミドルトンエリック・ブレッドソーといった選手たちがいるチームではあまり目立たないものの、マシューズは献身的な働きで要所に存在感を示していると言っていいはずだ。

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