エースのケガに指揮官交代で不完全燃焼となったネッツ/2019-20NBA通信簿チーム編②

ケガのため20試合のみの出場となったカイリー(右)と3月上旬に決別したアトキンソン前HC(左)[写真]=Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編②ブルックリン・ネッツ

イースタン・カンファレンス(アトランティック・ディビジョン)
総合評価:C

■ここまでの戦績
今季戦績:30勝34敗(勝率46.9%/イースト7位)
ホーム戦績:18勝14敗(勝率56.3%)
アウェー戦績:12勝20敗(勝率37.5%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:110.8(19位)
平均失点:111.4(18位)
平均リバウンド:48.5本(2位)
平均アシスト:24.0本(16位)
平均スティール:6.5本(27位)
平均ブロック:4.6本(21位)
オフェンシブ・レーティング:107.8(22位)
ディフェンシブ・レーティング:108.3(8位)

アレン(写真)やジョーダンの踏ん張りもあり、リバウンド数ではリーグ上位に入った[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:カイリー・アービング(32.9分)
平均得点:カイリー・アービング(27.4得点)
平均リバウンド:ディアンドレ・ジョーダン(10.0本)
平均アシスト:スペンサー・ディンウィディー(6.8本)
平均スティール:カイリー・アービング(1.4本)
平均ブロック:ジャレット・アレン(1.3本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:ティモテイ・ルワウ・キャバロ(2WAY→10日間契約→複数年契約)、クリス・チオッザ、ジェレマイア・マーティン(いずれも2WAY契約)
退団:イマン・シャンパート(契約→解雇)、ヘンリー・エレンソン
ヘッドコーチ(HC):ケニー・アトキンソン→ジャック・ボーン(暫定)

暫定HCとなったボーンは2戦2勝でシーズン中断に入った[写真]=Getty Images

得点源を複数欠く中、ディンウィディーを中心に奮戦も不完全燃焼に

 昨夏加入したケビン・デュラントが、右足アキレス腱断裂のため不在という状況で迎えた今季、開幕戦で新加入のカイリー・アービングがいきなり50得点の大暴れで鮮烈デビューを飾るも、チームはミネソタ・ティンバーウルブズに惜敗。翌戦でニューヨーク・ニックスを下して今季初勝利を挙げたものの、黒星先行が続く。11月中旬にはカイリー、キャリス・ラバートという得点源がケガのため戦線離脱というピンチに。

 そこでチームをけん引したのはスペンサー・ディンウィディー。ケニー・アトキンソンHCの下、ディンウィディー、ジョー・ハリスジャレット・アレンといったプレーオフ進出を果たした昨季の主力選手たちを中心に、11月中旬から4連勝と挽回し、貯金生活でイースト上位に浮上。

 ところが、12月下旬から泥沼の7連敗を喫してしまい、再びチームは借金生活へ。ルバートが1月上旬、カイリーが1月中旬に復帰し、戦力がそろったものの、なかなか波に乗れない状態が続く。2月下旬から行われた6戦で5敗を喫し、ホームで行われた3月5日のメンフィス・グリズリーズ戦では39点差の大敗という屈辱的な敗戦に。

自己最高の成績でネッツをけん引するディンウィディー[写真]=Getty Images

 7日にサンアントニオ・スパーズを下したものの、ここでチームは方向転換。就任4シーズン目のアトキンソンHCと決別し、ジャック・ボーンAC(アシスタントコーチ)を暫定HCに据えて戦うことを発表。

「今、我々がいるポジション(イースト7位)を見て『次のレベルへと向かうためには何が必要なのか?』と考え、我々は議論した結果、新たな声がチームに必要な時だと判断したんだ」とショーン・マークスGM(ゼネラルマネジャー)がその理由を明かした。

 3月は絶好調のラバートが平均27.4得点を挙げるなど、8人が平均8得点以上を稼いで4勝1敗と復調傾向にあった中でシーズン中断となった。カイリーのケガや指揮官交代といった変化があったにせよ、イースト上位が期待されていただけに、厳しい評価にせざるをえない。

デュラントの完全復活が見込める来季、覇権争いに参戦できるのか?

 デュラントの完全復活が見込める来季に覇権争いへ加わるため、今季は新加入のカイリーとディアンドレ・ジョーダンが既存戦力とチームケミストリーを構築するシーズンだったものの、不完全燃焼という印象。

 カイリーはキャリアハイの平均27.4得点に6.4アシストと、個人成績の面では上々の数字。2月1日のシカゴ・ブルズ戦でフィールゴールを82.6パーセントで決め切り、54得点の大暴れで勝利へと導くなど強烈なインパクトを残した。

 とはいえ、肩のケガによって20試合のみの出場で一足先にシーズン終了。エースとして臨んだ20試合でチームは8勝12敗と負け越していることもそうだが、なかなか勝てない状況で「もっと上に行くためには戦力不足」と、チームメートへの配慮に欠ける問題発言をし、アトキンソンHCとの不仲が複数の現地メディアから報じられるなど、後味の悪い終わり方となってしまった。

 そんな中で今季のチームMVPを挙げるならばディンウィディーだろう。先発と控えを交互にこなしつつ、いずれもキャリアハイとなる平均31.2分20.6得点3.5リバウンド6.8アシストと大車輪の働きでチームをけん引。

 もしこのままシーズン終了となった場合は、新たな指揮官を探す必要があるのだが、アトキンソン前HCの下で成長を遂げたラバートやハリス、アレンといった選手たちをキープできるかどうかも気になるところだ。

 なお、ネッツは18日に4選手が新型コロナウイルスの陽性反応が出たことを発表。そこでデュラントは自らが感染していることを公表し、『The Athletic』『Stadium』を通じて「皆が警戒しないといけない。自分自身のことを大事にし、(新型コロナウイルスから)隔離しよう。俺たちはこれを乗り越えてみせる」というメッセージを発信している。

来季ネッツが覇権争いに参戦するためには、デュラント(左)とカイリー(右)の献身が不可欠となる[写真]=Getty Images

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