過去と現在の選手の名声について語るカーHC
NBAという世界最高峰のバスケットボールリーグにおいて、特定の選手が目覚ましい活躍をすれば、ファンは熱狂的にそのプレーヤーを追い続けることだろう。やがて選手がスーパースターへと成長していき、リーグ制覇を達成したとすれば、今度は何を自分たちに証明してくれるのだろうかと期待はより一層膨らむ。しかしどんな偉大な選手も1人の人間であり、人々の視線から逃れてプライベートな空間を求めることもあるはずだ。
ソーシャルメディアが普及した現代において、NBA選手も積極的にツイッターやインスタグラムなどを利用している。だが投稿した内容次第ではファンから大きな非難の声を浴びせられたり、呟く内容1つ1つを常に監視されているとも言える。選手のコート外における言動や人格とは、ファンが大きく関心を持っていることの1つであり、インターネットの発展によって、選手のいい面も悪い面も目の当たりにできる時代となった。
『NBC Sports』によれば、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は、現代におけるソーシャルメディアの影響力についてコメント。現役時代にシカゴ・ブルズでチームメートだったマイケル・ジョーダン(元ブルズほか/現シャーロット・ホーネッツ オーナー)と、現代のスーパースター、ステフィン・カリー(ウォリアーズ)を比較し、過去と現在における選手個人の評判の違いについて語った。
「当時のマイケルのような有名なアスリートは、神秘的な性質を持っていたと思う」と語るカーHC。「現在に関しては、想像力をかき立てるものは何もない。当時はアスリートとして、プレーヤーとして人々の目から逃れることができた。カメラが自分を捕らえていなければ、逃れることができたんだ」と話す。
一方で現代については、「ただ今日のソーシャルメディアにおいて、自分の人生のすべての側面を、ほかの人々が目にしている。ステフィン・カリーがそのわかりやすい例だ。彼のすべての瞬間が、分析され、判断され、批判される。だからこそ私は、以前の方がまだ少し自由があったのだと思う。かつては名声から逃れることができたんだ。そして現在では、人々の目から逃れることはできなくなったようだ」と説明している。
かつて現代ほどインターネットが普及していない世の中では、選手はカメラやメディアの前から姿を消してしまえば、自分だけの空間を維持することができていたのだろう。だが今日のように、選手がたとえ気軽に本音をインターネットで打ち明かしても、それが必ずしもファンにとって好意的に捉えられるとは限らない。また一挙一動がファンによってSNS等で評価されるために、選手によっては発言や投稿内容を気を付けるなど、気が気でないかもしれない。現在はコート外での選手の言動をファンが追うことが昔と比べて容易であり、カーHCが述べたように、選手が人々の目から逃れるのは難しいのかもしれない。