2017年のドラフトを前に、サンズの指揮官から連絡を受けたテイタム
2017年のNBAドラフトは、事前に行われたドラフトロッタリー(指名順位を決める抽選)でボストン・セルティックスが全体1位、フィラデルフィア・セブンティシクサーズが全体3位指名権を手にしていた。
ところが、ドラフト本番を3日後に控えた6月20日(現地時間19日、日付は以下同)。シクサーズは3位指名権と2019年のドラフト1巡目指名権(のちのロメオ・ラングフォード)を放出し、セルティックスから全体1位指名権を獲得。
この年のドラフトは全体1位でシクサーズがマーケル・フルツ(現オーランド・マジック)、2位でロサンゼルス・レイカーズがロンゾ・ボール(現ニューオーリンズ・ペリカンズ)、3位でセルティックスがジェイソン・テイタムを指名した。
だがテイタムは当初、全体4位指名権を持っていたフェニックス・サンズに行くものだと思っていたという。
5月12日に公開された人気コンテンツ『ALL THE SMOKE』へ出演したテイタムは、MCを務めるマット・バーンズ(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)、スティーブン・ジャクソン(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)とのトークで、当時サンズのヘッドコーチ(HC)を務めていたアール・ワトソン(元シアトル・スーパーソニックスほか)から、サンズがドラフトでテイタムを指名することに絞っていると聞かされたと明かした。
「俺は友だちやママに連絡して、『俺はフェニックスへ行くことになると思う』って言ったんだ。アール・ワトソンが『君とD-Book(デビン・ブッカーの愛称)という色白のすごい選手たちが思う存分、楽しめるようにするよ』って感じで言ってくれてね」。
テイタムは「俺は車の中にいたんだけど、『それいいな』って思ってね。(フェニックスへ)行きたいと思ったんだ」と振り返ったものの、テイタムは3位指名でセルティックスへ行き、サンズは4位でジョシュ・ジャクソン(現メンフィス・グリズリーズ)を指名。もしサンズの狙いどおりにブッカーとテイタムがデュオを形成していれば、相手チームへ脅威を与えていた可能性は十分ありそうだ。
「我々はすでにジェイソン・テイタムを指名するつもりだったんだ」と2017年ドラフトの裏側をダニー・エインジGMが振り返る
もっとも、セルティックスのダニー・エインジGM(ゼネラルマネジャー)はテイタムのサンズ行きについてきっぱりと否定している。
最近公開された『ESPN』のザック・ロウ記者とのポッドキャスト“The Lowe Post”へ出演したエインジGMは「ジェイソンがフェニックスに行くことは決してなかった。彼が我々との2度目のワークアウトに来なかったとしてもね。すでにジェイソン・テイタムを指名するつもりだったんだ」と明かすと、こう続けていた。
「我々は非常に自信を持っていたんだ。フィリーがマーケルを指名し、ロンゾがLAに行くだろうとね。その判断にはとても自信があったよ」。
この年のドラフト上位5位指名は1位から順にフルツ、ボール、テイタム、ジャクソン、ディアロン・フォックス(サクラメント・キングス)で、約3シーズンが過ぎようとしている時点でドラフト指名されたチームに残っているのはテイタムとフォックスのみ。
今年2月に行われたオールスターゲームには、テイタムとドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ/1巡目13位)、バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート/1巡目14位)の3選手がそれぞれ初選出されている。
今後のキャリアで選手たちに対する評価が変わってくるかもしれないが、現時点でテイタムは2017年のドラフト指名組の中でトップクラスの実績を残していると言っていいだろう。