ハレルの一時離脱により、控えセンターとして活躍が期待されるベテラン
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防止すべく、NBAがレギュラーシーズンを中断へと踏み切ったのは3月12日(現地時間11日、日付は以下同)。ジョアキム・ノアは10日にロサンゼルス・クリッパーズと10日間契約を結んだばかりで、1試合もプレーすることなく自粛期間を迎えた。
あれから約3か月半が経過した6月28日。ノアはクリッパーズと本契約を結び、現在はフロリダ州オーランドにある“バブル”と称される開催地でチーム練習に励んでいる。
ウェスタン・カンファレンス2位のクリッパーズ(44勝20敗)は、今季の優勝候補の一角であり、ロースターにはカワイ・レナードやポール・ジョージ、ルー・ウィリアムズといった実力者が複数おり、選手層も厚い。
もっとも、平均18.6得点7.1リバウンドを記録するモントレズ・ハレルが18日に家庭の事情により開催地から離れたと『The Athletic』が報道。ベンチから攻防両面でエネルギッシュなプレーを見せるビッグマンは、今後いずれかのタイミングでチームに戻る見込みながら、23日からスタートするスクリメージ(練習試合)に出場できるかは微妙。
そこで期待がかかるのはノアだろう。クリッパーズは先発センターにイビツァ・ズバッツ、先発パワーフォワードにはマーカス・モリスがいるものの、ハレルは両選手のバックアップを務めていただけに、ノアのプレータイムが増えるかもしれない。
「我々は彼を堅実なベテランとして、彼なりにできる限りリーダーとして、それにすばらしいお手本、(ズバッツにとっての)教師として求めている。さらには呼ばれたら準備が整っている選手としてね。メンタル面でも、私は彼が今すぐにでも準備できているように思うよ」。
20日に行われたメディアとの取材で、ドック・リバースHC(ヘッドコーチ)はそう話しており、ノアがシーディングゲーム(順位決定戦)でもローテーション入りしてプレーするかのように示唆している。
キャリア13年目のノアは、211センチ104キロのビッグマン。2014年に最優秀守備選手賞に輝いたほか、オールスターに2度、オールNBAチームに1度、オールディフェンシブチームには3度選ばれた実績を持ち、パサーとしてもビッグマンの中で平均以上のスキルがある。
シカゴ・ブルズ在籍時の13-14シーズンには平均5.4アシストを記録しており、ペリメーターから的確なパスを繰り出すことが可能。ブルズでは7年連続でプレーオフに出場しており、計60試合の経験はクリッパーズにとっても頼もしい限り。
「今週、彼はいいプレーをしていたよ。このチームには数多くの競争が展開されてる。彼は経験豊富なベテランだから、その中でも存在感を見せることができると思うよ。これまでにプレーオフでもたくさん戦ってきたし、キャリアの中でいくつか成功も収めてきた。キャリアを変えてしまうほどのケガを負った後にやってきたけど、このチームならうまくフィットすると僕は思うね」とウィリアムズも期待を寄せている。
今月12日。ノアは「ケガで自分のキャリアを終えたくなかった。もしトレーニングを続けていなければ、クリッパーズから声がかかっても準備できていなかったから、残りの人生でずっと後悔することになるだろうと思ってた」と明かしていた。NBAキャリアの中でもう一花咲かせるべく、コンディションをキープしていたからこそ手にしたチャンスだったのである。
スコアラーがそろうクリッパーズにおいて、ノアが積極果敢にショットを放つ必要はない。持ち味であるディフェンスに加え、リバウンドやスクリーンといった裏方的な役割を献身的にこなすことで、十分チームに貢献できるはずだ。