2020.05.22
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
ウェスタン・カンファレンス(パシフィック・ディビジョン)
総合評価:A
■ここまでの戦績
今季戦績:44勝20敗(勝率68.8%/ウェスト2位)
ホーム戦績:25勝7敗(勝率78.1%)
アウェー戦績:19勝13敗(勝率59.4%)
■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:116.2(5位)
平均失点:109.7(13位)
平均リバウンド:48.0本(3位)
平均アシスト:23.8本(19位)
平均スティール:7.1本(24位)
平均ブロック:5.0本(15位)
オフェンシブ・レーティング:112.9(3位)
ディフェンシブ・レーティング:106.6(5位)
■主要スタッツリーダー
平均出場時間:カワイ・レナード(32.2分)
平均得点:カワイ・レナード(26.9得点)
平均リバウンド:カワイ・レナード(7.3本)
平均アシスト:ルー・ウィリアムズ(5.7本)
平均スティール:カワイ・レナード(1.8本)
平均ブロック:モントレズ・ハレル(1.1本)
■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:マーカス・モリス、レジー・ジャクソン、ジョアキム・ノア(10日間契約)
退団:モーリス・ハークレス、ジェローム・ロビンソン、アイザイア・トーマス(解雇)
昨夏にカワイ・レナード、ポール・ジョージという攻防両面に秀でたリーグ屈指の2ウェイプレーヤーをロースターに加えたクリッパーズは、フランチャイズ史上最強と言っても過言ではない豪華戦力で節目となる通算50シーズン目を迎えた。
レナード、ジョージというオールスター常連デュオに加え、昨季主軸を務めたルー・ウィリアムズ、モントレズ・ハレルをリザーブに配置するという選手層の厚さを誇るチームは、開幕戦で同じく優勝候補に挙がるロサンゼルス・レイカーズを撃破。開幕12試合目にジョージがラインナップに加わると、チームは連敗こそ喫したものの、白星を量産していく。
途中、ロードマネジメント(選手の疲労管理)としてレナードを休ませることで批判を浴び、チーム内でも問題視されることもあったが、勝ち続けることで徐々に解消。寡黙なエースに代わってウィリアムズやパトリック・ベバリーといったベテラン陣がリーダーシップを発揮し、チームはまとまりを見せていった。
それでも、フランチャイズ史上初の優勝を勝ち取るべく、クリッパーズはウェスト上位にいながらも積極的に補強を断行。即戦力フォワードのマーカス・モリス、ベテラン司令塔のレジー・ジャクソン、シーズン中断直前にはベテランセンターのジョアキム・ノアを加え、リーグ最高級のロースター形成に成功。
その一方で、ここまで64試合にフル出場したのは先発センターのイビツァ・ズバッツのみと、ケガ人も続出していたことで、ドック・リバースHC(ヘッドコーチ)は29通りものスターターで試合に臨み、結果を残してきた。
オールスター後の初戦でサクラメント・キングスに敗れると、クリッパーズは翌戦からスターターをベバリー、ジョージ、レナード、モリス、ズバッツに固定。すると6連勝を含む7勝1敗という好成績を残してシーズン中断を迎えた。
この8試合で見ていくと、オフェンシブ・レーティングはリーグ2位の117.3、ディフェンシブ・レーティングもリーグ5位の105.8と、いずれもシーズン平均を上回る好成績を残している。
ビッグマンの高さという面で不安を抱えており、レイカーズやミルウォーキー・バックス、ユタ・ジャズのように高さのあるフロントコートの選手を複数抱えるチームとの対戦では分が悪くなる可能性があるものの、このチームにはリーグ随一の選手層があり、レナードやウィリアムズ、ジョージなどクラッチプレーヤーが豊富なのも頼もしい。3点差以内に決着がついた試合でリーグベストの8勝1敗(勝率88.9パーセント)という戦績がこのチームの強さを端的に表していると言っていいだろう。
開幕直前、レナードが「僕は試合に勝つ手助けをするためにここにいる。勝利するカルチャーを構築しようとトライし、4月までプレーすること(プレーオフではなくまずはレギュラーシーズンに集中すること)にフォーカスしていることを皆に知らせたい。毎晩最もスマートなチームとしてプレーし、ここで何かを構築したいね」と話していたとおり、ここまでチームは順調に白星を積み重ねてきた。
レナード自身も平均26.9得点7.3リバウンド5.0アシストと、主要3部門でキャリアハイ(リバウンドのみキャリアハイタイ)という好成績をマーク。今年2月のオールスターではゲームハイの30得点に7リバウンド4アシストをたたき出し、初代コービー・ブライアント・MVPアワードを受賞。
3月上旬には「自分たちにできる限りのことをして、最高のチームになれるように努力する。僕らは独りよがりなグループじゃない。これからも向上して、(優勝という)目標に到達できるといいね」と『ESPN』へコメントしており、手ごたえを感じていた。
豪華戦力を有するクリッパーズだが、このチームがチャンピオンシップを勝ち取るために与えられた時間は長くはない。というのも、昨夏に加入したレナードとジョージの契約はいずれも3年目(21-22シーズン)がプレーヤーオプション(PO)となっており、来季までに結果を残せなければ、両選手がPOを破棄して制限なしフリーエージェント(FA)となってクリッパーズから離れてしまうかもしれないからだ。
今季終了後にはハレル、モリス、パトリック・パターソン、ジャクソンが制限なしFA、ジャマイカル・グリーンも来季の契約がPOとなっているため、このまま今季終了となれば、現有戦力で再び戦うことはできないだろう。
「彼(レナード)と知り合えて、今シーズン一緒に戦うことができてうれしい。俺たちは約20試合を残していて、終盤に向けたケミストリーに自信を持っていた。このような状況は残念だけど、一歩引いて何が最も重要か理解する必要があるね」。
ウィリアムズが4月下旬に『ESPN』のインタビューで話していたとおり、チームがレナードを中心にまとまってきていただけに、シーズン中断という状況はクリッパーズにとって苦しい展開になってしまったのかもしれない。
だが、仮に今季が中止となってしまっても、来季再びチームがかみ合えば、優勝戦線に絡んでくることは確実。それほどの戦力と魅力を十二分に持ったチームなのは誰もが知っているはずだ。
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