2020.10.22
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
ウェスタン・カンファレンス(サウスウェスト・ディビジョン)
総合評価:D
■ここまでの戦績
今季戦績:27勝36敗(勝率42.9%/ウェスト12位)
ホーム戦績:16勝14敗(勝率53.3%)
アウェー戦績:11勝22敗(勝率33.3%)
■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:113.2(10位)
平均失点:114.9(24位)
平均リバウンド:44.4本(18位)
平均アシスト:24.5本(14位)
平均スティール:7.2本(23位)
平均ブロック:5.5本(8位)
オフェンシブ・レーティング:111.3(11位)
ディフェンシブ・レーティング:112.8(24位)
■主要スタッツリーダー
平均出場時間:デマー・デローザン(34.3分)
平均得点:デマー・デローザン(22.2得点)
平均リバウンド:ラマーカス・オルドリッジ(7.4本)
平均アシスト:デマー・デローザン(5.6本)
平均スティール:デジャンテ・マレー(1.7本)
平均ブロック:ラマーカス・オルドリッジ(1.6本)
■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:タイラー・ゼラー
退団:デマーレイ・キャロル
NBA歴代最長タイとなる22年連続のプレーオフ進出を果たした強豪は、昨夏3チーム間のトレードでダービス・ベルターンス(現ワシントン・ウィザーズ)を放出し、ディフェンダーのデマーレイ・キャロル(現ヒューストン・ロケッツ)を獲得。
ほかではフリーエージェント(FA)でトレイ・ライルズを獲得したことを除くと、ルーキーのケルドン・ジョンソンとルカ・サマニッチを加えたくらいで、昨季とほぼ同等のロースターで今季を迎えた。
グレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)とデリック・ホワイト(共にアメリカ代表)、パティ・ミルズ(オーストラリア代表)、マルコ・ベリネリ(イタリア代表)がそれぞれ昨夏のFIBAワールドカップへ出場したものの、ラマーカス・オルドリッジとデマー・デローザンという両輪を中心に開幕3連勝と好スタートを切る。
ところが、昨年11月に悪夢の8連敗。このチームにとって1996-97シーズンの11月以来、23年ぶりであり、同シーズン途中に就任したポポヴィッチHCにとっても、自身最長の連敗となってしまった。
もっとも、過去22シーズン連続でレギュラーシーズン勝ち越しを決めてきた名将は連敗をストップしても「これは(人生における)もう1つのゲームなんだ。ちょっと固くなりすぎているね。彼らは全員がプロであり、成熟した男たちだ。彼らには家族がおり、子どもたちもいるから、(連敗が彼らを)悩ませることはない。もちろん、何度も連続して試合に負けることを好む選手はいないが、衰弱してしまうようなことはないだろう。(連敗していようと)給料は手に入るんだ」と、客観的に見ていた。
そうした中で、チームのトップスコアラーとなった在籍2年目のデローザンは11月下旬に「僕はもっと勝ちたくなったんだ。僕らがこれまで味わってきた苦難(からはいあがった力)を見せつけてやろうじゃないか」と意気込み、オルドリッジが地元メディア『The San Antonio Express-News』へ「自分たちのことを信じなきゃいけない。もし信じることができないのならば、ここにいるべきじゃない。このチームにいる全員が(ここから巻き返せると)信じるべきだし、ハードワークしなきゃいけないし、毎日向上していくべきだ。もしそれができないんなら、ここにいるべきじゃない」とチームを鼓舞。
だがスパーズはその後も5連敗を喫するなど、勝率5割まで戻すことはできずにシーズン中断を迎えた。7月31日にスタートする第二幕へ参戦する機会を得たとはいえ、プレーオフ出場圏内にいる8位のメンフィス・グリズリーズとは4.0ゲーム離れている。
もしこのままのゲーム差をキープできれば2戦必勝のプレーイン・トーナメントへ出場できる資格を手に入れることができるのだが、ポートランド・トレイルブレイザーズ、ニューオーリンズ・ペリカンズ、サクラメント・キングスもそれぞれ3.5ゲーム差でグリズリーズを追っているため、NBA新記録となる23年連続のプレーオフ出場は非常に厳しい状況。
今季は勝率5割を上回るチーム相手に11勝19敗と大きく負け越していることもあり、96-97シーズン以来初のレギュラーシーズン負け越しになる可能性が高いと言っていいだろう。
トレードのウワサが何度もささやかれる中、デローザンは苦手の3ポイントを極力なくし、ミドルレンジとペイントエリアを中心に攻め立て、自己最高となるフィールドゴール成功率52.6%という高確率でショットを沈めてチームをけん引。
また、ミルズ、デジャンテ・マレー、ホワイトが自己最高の平均得点を残し、ブリン・フォーブズも昨季と同等の成績を記録。ルディ・ゲイやヤコブ・ポートルは昨季同様に効果的な働きを見せており、新加入のライルズや2年目のロニー・ウォーカー4世もまずまずの働きを見せている。
3月のシーズン中断時点で、スパーズのスケジュールはリーグ上位チームとの対戦数が少なく、23年連続のプレーオフ進出に向けて「まだ可能性は残されている」とベテランのゲイが口にしていたものの、オーランドで開催されるレギュラーシーズン8試合の対戦相手はシーズン戦績で上回るチームが多くなることが濃厚なだけに、その可能性は低くなったと言わざるを得ない。
さらに、6月9日にオルドリッジが右肩の手術によって今季を一足早く終えることを発表。25日に代役としてビッグマンのタイラー・ゼラーと契約を結んだとはいえ、攻防両面における大黒柱とロールプレーヤーを比較するのはさすがに酷。スパーズは大きな戦力ダウンとなったことで、プレーオフ進出には赤信号が灯っている。
オルドリッジはチームの公式リリースの中で「チームメートたちと今シーズンを締めくくることができないことにがっかりしている。でも完治した状態で来シーズンに向けて準備していくことができることを楽しみにしている」とコメント。
はたして、大黒柱不在の中でスパーズはデローザンを中心にどれだけ勝利を手にすることができるのか。選手たちの奮起と名将による好采配に期待したいところだ。
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