2020.10.26
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:サンアントニオ・スパーズ(ウェスタン・カンファレンス12位)
総合評価:B
■プロフィール
生年月日(年齢):1989年8月7日生まれ(30歳)
ポジション:ガード-フォワード
身長/体重:198センチ/99キロ
NBAキャリア:11年目
<今季ここまでの功績>
週間最優秀選手:1度
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:34.3分
平均得点:22.2得点(リーグ18位)
平均リバウンド:5.6本
平均アシスト:5.6本
平均スティール:1.0本
平均ブロック:0.2本
フィールドゴール成功率:52.6%
3ポイント成功率:26.7%
フリースロー成功率:84.3%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:42分04秒(20年3月9日/対キャバリアーズ)
得点:38得点(20年1月30日/対ジャズ)
リバウンド:10本(2度)
アシスト:12本(20年3月11日/対マーベリックス)
スティール:3本(6度)
ブロック:2本(2度)
フィ―ルドゴール成功数:14本(19年11月19日/対マーベリックス)
3ポイント成功数:3本(19年12月7日/対キングス)
フリースロー成功数:16本(20年1月30日/対ジャズ)
★=キャリアハイ
スパーズ在籍2年目となった今季、デローザンは主にシューティングガードからスモールフォワードへとスライドし、得意分野によりフォーカスして活躍していった。
3ポイント試投数をルーキーシーズン(平均0.2本)以来最少となる平均0.5本にとどめ、持ち味であるミドルレンジゲームを増やしつつ、ドライブでアグレッシブにリング下を攻めていった。
昨年12月22日のロサンゼルス・クリッパーズ戦から12試合連続で20得点3アシストにフィールドゴール成功率52.0%以上をマーク。スパーズも6勝6敗と勝率5割を記録し、昨季スパーズに加入後としては初の週間最優秀選手にも選出。
過去35年間において、デローザンが残したこの記録はマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか/12試合連続)と並ぶトップタイで、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ/11試合連続)をも上回る快記録に。
スパーズは昨年11月に23年ぶりの8連敗を喫するなど、なかなか白星先行になれずに苦しむ中、1月に入ってミルウォーキー・バックス、ボストン・セルティックス、トロント・ラプターズといったイースタン・カンファレンス上位チームを撃破。16日のマイアミ・ヒート戦には敗れたものの、デローザンは前を向いていた。
「俺らはきっとうまくいく。今の成績は酷いけどね。でも正しい方向へと向かっている傾向にある。すばらしいチームを相手にいいプレーを見せているし、強豪をいくつか撃破してきたから、大きな自信を手にしたと思う。それに、(プレーオフまで)どれほど多くの時間が残されているか、皆が理解している」。
だが残念なことに、スパーズはその後5連敗を喫するなど黒星が先行してしまい、ウェスト12位という低位置でシーズン中断に突入。オフェンシブ・レーティング(100回のポゼッションにおける得点)はリーグ11位の111.3も、ディフェンシブ・レーティング(同失点)ではリーグ24位の112.8と低迷。
もっとも、デローザン自身はフィールドゴール成功率でキャリアハイを記録するなど好調をキープ。リング下で74.5%という高確率を残しつつ、近距離、ミドルレンジ、ロングレンジと、いずれも42.4%以上の確率でショットを沈めており、トップスコアラーとしての役割を務めてきた。
ただし、スパーズがNBA史上最長記録となる23シーズン連続のプレーオフ進出を達成するには赤信号が点滅しているというのが現状だ。8位のメンフィス・グリズリーズを4.0ゲーム差で追うスパーズにとって、攻防両面における大黒柱のラマーカス・オルドリッジ(右肩の手術)、ビッグマンのトレイ・ライルズ(虫垂炎)の出場辞退はあまりにも厳しい。
7月12日、シーズン中断後、初めてのチーム練習を終えたデローザンは「バスケットボールをプレーしていなければ、本来のシェイプを保つことは難しい。できるならたくさんワークアウトしたいし、ウェイトルームで時間を費やしたいもの。でも今回の状況はこれまでとは違うからね」と切り出し、こう続けている。
「自分たちが檻から飛び出たたくさんのプードルかのように思えたね。走り回ってシュートしたんだ…数か月間も一緒にプレーできていなかったんだからね。でも昨日(練習初日)は短かったから、俺たちは皆楽しむことができた。そして今後に向けて期待を抱くことができたよ」。
とはいえ、24日のバックスとのスクリメージ(練習試合)初戦を前に、グレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)が「(戦力ダウンにより)チームとして少し落ち込んでいるが、成長していくことが何よりも重要だ」と話したように、スパーズは今後厳しい日程が待っており、リラックスした状態を続けていくわけにはいかない。
プレーオフの連続出場記録に注目が集まるも、指揮官が「成長していくこと」と掲げたように、デローザンも若手のサポート役を買って出ている。
「若手がゲームへのアプローチやどうプレーすればいいか、または今回の状況下で何が異なってくるのか、知識の面で理解するのを助けるつもりだ。(開催地での無観客試合で)だいぶ雰囲気は異なるだろうけど、あまり考えすぎないこと。プレーして、学び続けるだけさ。俺たちのゴールは若手たちを準備万端にさせて、コートに出て戦うこと」。
デローザンはバックス戦で約20分出場して8得点4リバウンド4アシスト2スティール、26日のブルックリン・ネッツ戦では約23分のプレータイムで8得点3リバウンド3アシストとまずまずの数字を残しており、コンディションも良好と言っていい。
スパーズにとって、シーディングゲーム(順位決定戦)8試合の対戦相手は5チームが勝率5割超えの格上チーム。残りの3試合もサクラメント・キングス、グリズリーズ、ニューオーリンズ・ペリカンズと、いずれもプレーオフ進出を争うチームだけに、マスト・ウィン・ゲームばかり。
その厳しい環境下で、スパーズの選手たちが成長を続け、白星を手にすることができるのか。オルドリッジ不在の中、デローザンが果たすべき役割はかつてないほど大きなものになりそうだ。
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