2020.09.27
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:ゴールデンステイト・ウォリアーズ(ウェスタン・カンファレンス15位)
総合評価:D
■プロフィール
生年月日(年齢):1988年3月14日生まれ(32歳)
ポジション:ガード
身長/体重:190センチ/86キロ
NBAキャリア:11年目
<今季ここまでの功績>
特になし
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:27.8分
平均得点:20.8得点
平均リバウンド:5.2本
平均アシスト:6.6本
平均スティール:1.0本
平均ブロック:0.4本
フィールドゴール成功率:40.2%
3ポイント成功率:24.5%
フリースロー成功率:100.0%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:31分00秒(19年10月29日/対ペリカンズ)
得点:26得点(同上)
リバウンド:8本(19年10月28日/対サンダー)
アシスト:11本(19年10月29日/対ペリカンズ)
スティール:3本(同上)
ブロック:2本(19年10月31日/対サンズ)★(キャリアハイタイ)
フィ―ルドゴール成功数:9本(19年10月29日/対ペリカンズ)
3ポイント成功数:4本(同上)
フリースロー成功数:8本(20年3月6日/対ラプターズ)
★=キャリアハイ
「本当に、すばらしいシーズンだったと思う。実際に5年連続でファイナルに出場したことは1960年代以降では初めてのことだったからね。負けた時はがっかりしたけど、僕らが1年を通してやってきたことに対しては本当に誇りに思ってる。それに僕らのストーリーは今後も続いていく。多くの人が『もう終わりじゃないか』と言ってるけど、僕が絶対にそんなことはさせない。また戻ってくることを楽しみにしてるし、来季以降もさらにチャンピオンシップを求めていく」。
昨年6月。NBAファイナル終了直後に来日した際、カリーは2018-19シーズンについてそう振り返り、今季に向けて意気込んでいたのだが、カリーにとってキャリア11年目となった19-20シーズンは残念な形となってしまった。
ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)らを筆頭に多くのベテランがチームを去り、ロースターの半数近くが入れ替わった中で迎えた今季。ウォリアーズはクレイ・トンプソンもケガで欠く中、開幕戦でロサンゼルス・クリッパーズを相手に122-141で大敗。
開幕3戦目でニューオーリンズ・ペリカンズを下してようやく初勝利し、カリーが今後に向けて「今シーズンは、全てにおいて戦い続けることになる。決して美しいものにはならないかもしれない。毎晩僕らはプレーするだけじゃなくて、(若手たちに)教えていかなきゃいけない。僕らはそのチャレンジと共に、その責任があることも受け入れる」と話していたものの、続く4戦目(対フェニックス・サンズ)でそのカリーが左手第二中手骨を骨折してしまい、長期離脱に。
ドレイモンド・グリーンが口にした「最悪だね。タフになることは間違いない。このチームはステフ抜きで戦わなきゃならないんだ。当然、厳しくなるだろう」という言葉は、ウォリアーズの選手やコーチ、スタッフに加え、フロントの思いも代弁していたと言っていいだろう。
カリーは12月上旬に「ケガをした時、僕はいつも現実から目をそらしてしまう。僕のキャリアにおいて、こんなに長い間欠場する初めてのケガなんだ。これまでだとたぶん、5~6週間くらいが最長だった。だから自分の競争心という面で、すごくつらいね。僕が最も恋しいのは、バスケットボールをして、ロッカールームでチームメートたちと行動を共にできないこと。僕は今、すごくプレーしたいんだ。(今シーズンは)3試合とちょっとしかプレーできていないから、3か月も欠場するなんてなんだか変な感じさ」と地元メディア『NBC Sports Bay Area』へ話していたのだが、復帰するまで約4か月間も要した。
そして今年3月6日のトロント・ラプターズ戦で、カリーが待望の復帰。昨季ファイナルの再戦という重要な試合で、カリーはフィールドゴール16投中6本(うち3ポイントは12投中3本)にフリースロー8本全てを決めて23得点に6リバウンド7アシストと奮戦。
「ドレイモンドは普段、コーナーにいる僕へパスしてくれるけど、今日はいなかったから、何だか変な感じがしたのは確かだね。でも今シーズン、僕らは新しいことを構築しようとしているんだ。時間はかかるだろうけど、コートに出て新たなケミストリーを構築しようとしている選手たちとプレーするのは楽しかったよ」と試合後に話したカリーだったが、新型コロナウイルスの影響により、カリーとウォリアーズの今シーズンは事実上の終焉を迎えた。
トンプソンの今季全休、グリーンも計22試合を欠場し、カリーがわずか5試合の出場に終わったことで、今季のウォリアーズは15勝50敗(勝率23.1%)でリーグワーストという屈辱的な戦績となった。
今夏、オーランドで行われる第二幕に参戦できなかったウォリアーズを含む8チームは、ミニキャンプをしたうえでエキシビジョンゲームを複数行うことになると現地メディアが報じているのだが、カリー率いるウォリアーズは来季に向けて巻き返しを図っていることだろう。
カリー、トンプソン、グリーンという強固な基盤に加え、今年2月のトレードでアンドリュー・ウィギンズを加えたことで、ウォリアーズはバランスがよくなっている。伸びしろのある若手選手たちと、健康体を取り戻したこの4選手がケミストリーを構築できれば、ウォリアーズが再び覇権争いに参戦したとしても決して驚くことではない。
「ステフはどんな試合であろうと、勝利するチャンスを与えてくれる。誰がプレーしていようと関係なくね。そのことが彼をスペシャルな存在にしているんだ。つまり、彼がいる限り、そのチームは限界なんてないということ。『おいおい、俺たちは得点できないうえに勝つこともできないのか?』ということはあり得ないのさ」。
6月26日に『95.7 The Game』へ出演したボブ・マイヤーズGM(ゼネラルマネージャー)がそう話したように、カリーが健在な限り、ウォリアーズを優勝候補から除外することはできないだろう。
復帰戦となったラプターズ戦でも、トンプソンとグリーンが欠場する中、カリーは1万8,064人のファンが駆け付けたホームのチェイス・センターを盛り上げ、戦力充実のラプターズ相手に徐々に巻き返していき、試合時間残り1分3秒に2点差まで肉薄する奮戦を見せていたことが何よりの証。
スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)も4月下旬に行われたサンフランシスコ大とのビデオミーティングで、現役時代にシカゴ・ブルズで共にプレーしたMJことマイケル・ジョーダン(元ブルズほか)とカリーをこう比較している。
「あの2人は信じられないくらいハードに練習するんだ。チームのベストプレーヤーが真っ先にジムやトレーニング施設に現われて、うまくなるべくひたすら籠って練習し続けている状況を考えてみてほしい。そういう選手がいれば、組織全体に良い雰囲気を作り出せる。それこそマイケルがやっていたことであり、ステフもそう。ものすごく真剣に練習するんだ」。
カリーが来季、覇権争いへと舞い戻り、自身4度目のチャンピオンシップを獲得することにフォーカスしていることは間違いない。完全復活を遂げ、再びコートを席巻するスーパースターの姿を楽しみに待っていただきたい。
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