NBAは先日、2019-20シーズンのアワード主要6部門の候補者リストを発表。その年間最優秀躍進選手賞の項目には、ダラス・マーベリックスをけん引するルカ・ドンチッチの名前がリストアップされていた。
2年目を迎えたスロベニアの若き才能は、21歳とは思えない落ち着きとコートビジョンで、今季もコートを制圧。しかし、当の本人は、納得のいく活躍をできていないと感じているのだろうか。インタビュアーからノミネートの報告を受けると、喜ぶ素振りも見せずに、自分ではなく、とある別の選手の名前を挙げた。
「誰がこれに投票しているんだ? 僕を外して、デボンテ・グラハムをリストに入れてくれ。僕はここにいるに値しないよ」
Luka to me on MIP voting: “Who votes in this?”
Me: “Well, 100 of us, including me.”@luka7doncic: “Take me off the list and put @Devonte4Graham on there. I don’t deserve to be on there.”
— Brad Townsend (@townbrad) August 9, 2020
ドンチッチが自身の代わりにピックアップした選手は、2018年のドラフト同期であるシャーロット・ホーネッツのポイントガードだった。グラハムは、カンザス大学で4年間プレーした後にNBA入り。2019-20シーズンは、1試合平均18.2得点、3.4リバウンド、7.5アシストと、ケンバ・ウォーカー(ボストン・セルティックス)、トニー・パーカー(元サンアントニオ・スパーズほか)が抜けた穴を埋めるパフォーマンスでチームに貢献。昨シーズンのスタッツが4.7得点、1.4リバウンド、2.6アシストだったこと、そして、プレータイムが14.7分から35.1分に延びたことを考慮すると、確かにドンチッチの言うとおり、グラハムは間違いなく、今季のサプライズの1人だった。
しかし、ドンチッチの活躍はグラハムに負けず劣らずどころか、MVPに匹敵する。今季のスタッツは、平均29.0得点、9.5リバウンド、9.0アシスト(昨季は21.2得点、7.8リバウンド、6.0アシスト)。得点はリーグ全体6位、アシストは3位、さらに、トリプルダブルはリーグ最多の17回と、チーム順位以外は非の打ち所がない。
それでも謙虚にライバルの名前を挙げるドンチッチ。これ以上躍進したら、数年後には一体、どのような選手になってしまうのだろうか。末恐ろしいとは、まさにこのことだ。
文=Meiji