バックスを下し、自身初のイースト決勝進出を果たしたバトラー「俺のゴールではない」

バックスを4勝1敗で下してイースト決勝進出を決めたヒートのバトラー[写真]=Getty Images

「俺たちはチャンピオンシップを勝ち取りたい。これまでの8勝よりも、次の8勝の方がものすごくハードになるだろう。準備はできてるぜ」

 マイアミ・ヒートは9月9日(現地時間8日、日付は以下同)に行なわれたミルウォーキー・バックスとの第5戦を103-94で制し、イースタン・カンファレンス・セミファイナルを4勝1敗で突破。ヒートにとっては2014年以来初、闘将ジミー・バトラーにとっては初のカンファレンス・ファイナル進出を決めた。

「すごくうれしいね。でも前にも言ったけど、これは俺のゴールではないんだ。俺たちのゴールではない。この組織のゴールではないんだ。俺たちはチャンピオンシップを勝ち取りたい。俺たちはそこにフォーカスしている。これまでの8勝よりも、次の8勝の方がものすごくハードになるだろう。俺たちはそのことを理解してるけど、準備はできてるぜ」。

シリーズ突破を決めた第5戦で、バトラーはダブルダブルの活躍を見せた[写真]=Getty Images

 試合後にそう語ったバトラーは、17得点10リバウンド6アシストをマーク。さらにゴラン・ドラギッチが17得点、ジェイ・クラウダーが16得点6リバウンド、バム・アデバヨが13得点6リバウンド、ベンチスタートのタイラー・ヒロが14得点8リバウンド6アシスト、ケリー・オリニクが12得点6リバウンド2ブロックで勝利に貢献。

 ヒートはファーストラウンドでインディアナ・ペイサーズを4戦無敗、イースト準決勝ではバックスを4勝1敗で下してここまでプレーオフ8勝1敗と絶好調。優勝するためにはカンファレンス・ファイナル、NBAファイナルでそれぞれ4勝しなければならないため、バトラーの言うとおり、これまで以上にハードな戦いが待ち受けていることは間違いない。

 とはいえ、ヒートはイースト第5シードであり、過去25年のプレーオフで第5シード以下のチームがカンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだのはわずか2チームしかない。1つは1999年に第8シードからNBAファイナルまで勝ち上がったニューヨーク・ニックス、そしてもう1つは2013年のメンフィス・グリズリーズ(第5シード)で、今年のヒートはこの四半世紀では特筆すべき快進撃を見せていると言っていい。

 だがバトラーはヒートがベストなバスケットボールをプレーしているかどうか聞かれると、「そうは思わないね」と切り出し、こう続けた。

「俺たちはまだ48分間フルでプレーできてはいないと思う。このチームが集中し、最初から最後までプレーメイクしたら、ゲームはもっとイージーなものになるだろうね。俺にはまだそれが起きてはいないと思う。だが次のラウンドではそうしなきゃいけないな」。

 ヒートが前回カンファレンス・ファイナルへたどり着いたのは、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ドウェイン・ウェイド(元ヒートほか)が在籍していた2014年。当時も指揮を執っていたエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)は言う。

「カンファレンス・ファイナルまで勝ち進むのは簡単ではない。そのことはこの組織も理解している。我々はこれまで、必死になってこの位置まで戻ってこようとしてきた。(カンファレンス・ファイナルは)このチームの究極のゴールではない。だがこれまでの道のりがどれほど大変だったかは理解している」。

6年ぶりにカンファレンス・ファイナルへと舞い戻ったスポールストラHC[写真]=Getty Images

 昨季イースト10位の39勝43敗に終わり、プレーオフ進出を逃したヒートは、昨年のドラフトでヒロを指名。その後4チーム間のトレードでバトラーとマイヤーズ・レナードを獲得したほか、ケンドリック・ナン、ダンカン・ロビンソンをローテーション入りする選手にまで育て上げた。

 さらに、今年2月のトレードで経験豊富で優勝経験のあるアンドレ・イグダーラ、ベテランのクラウダー、ソロモン・ヒルをロースターに加えて戦力増強に成功。

「だからこそ我々はジミー・バトラーをこのチームに連れてきたんだ。そしてゴランとバムが築き上げたチームにヤングコアたちが入り、アンドレやジェイといったベテランを加えてチームをまとめてきた。ヤングコアたちもプレーオフで何かやってやろうという気持ちでプレーしてくれている。カンファレンス・ファイナルまでたどり着くことは簡単ではないんだ。他のチームも別の方法でやろうとしているんだと思う」と指揮官は言う。

 NBAファイナル進出をかけてヒートがカンファレンス・ファイナルで戦うのは、トロント・ラプターズとボストン・セルティックスのシリーズ勝者。第5戦を終えてセルティックスが3勝2敗と王手をかけている段階だが、どちらが勝ち上がってきたとしても手ごわい相手になることは間違いない。

 それでも、リーグベストの戦績を誇るバックスを見事に打ち砕いたヒートに失うものなどない。バトラー加入後初のシーズンとはいえ、戦力は充実しており、このままの勢いでファイナルまで勝ち進んだとしても、驚くことではないのかもしれない。

バトラー率いるヒートはどこまで勝ち上がることができるか?[写真]=Getty Images

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