2020.08.23
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:マイアミ・ヒート(イースタン・カンファレンス4位)
総合評価:A
■プロフィール
生年月日(年齢):1989年9月14日生まれ(30歳)
ポジション:ガード/フォワード
身長/体重:201センチ/104キロ
NBAキャリア:9年目
<今季ここまでの功績>
オールスター選出(2年ぶり5度目)
週間最優秀選手:1度
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:34.3分
平均得点:20.2得点
平均リバウンド:6.6本
平均アシスト:6.1本(リーグ20位)
平均スティール:1.7本(リーグ8位)
平均ブロック:0.5本
フィールドゴール成功率:45.4%
3ポイント成功率:24.8%
フリースロー成功率:83.3%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:44分11秒(19年12月9日/対ブルズ)
得点:38得点(20年2月4日/対シクサーズ)
リバウンド:18本(19年12月11日/対ホークス)★
アシスト:13本(2度)
スティール:6本(19年11月1日/対ホークス)★(キャリアハイタイ)
ブロック:4本(19年11月21日/対キャバリアーズ)
フィ―ルドゴール成功数:14本(20年2月4日/対シクサーズ)
3ポイント成功数:6本(19年12月5日/対セルティックス)★(キャリアハイタイ)
フリースロー成功数:17本(19年12月9日/対ブルズ)
★=キャリアハイ
娘が誕生したこともあり、個人的な事情で開幕3戦を欠場したものの、ヒートのデビュー戦で早速21得点に5リバウンド3スティールを記録して勝利に貢献すると、攻防両面に渡ってチームをリード。
ヒートは新たなリーダーの周囲にケンドリック・ナン、タイラー・ヒーロー、ダンカン・ロビンソンといった有能なシューターを配置。バトラーは持ち味であるタフなディフェンスに加え、彼らへの得点機会を数多く演出したことで、ここまでキャリアハイの平均アシスト数を残している。
今季のフィールドゴール試投数(平均13.4本)はここ6シーズンで最も少ないが、3ポイント試投数を減らして積極果敢にペイントエリアへアタックしたことで自己最高となるフリースロー試投数(同9.1本)を記録しており、新天地ヒートで自身の持ち味を最大限に発揮していると言っていい。
ビッグマンのバム・アデバヨの急成長もあり、バトラー率いるヒートはイースト上位へと浮上。特にホームのアメリカン・エアラインズ・アリーナでは抜群の強さを見せており、ここまで27勝5敗(勝率84.4%)と大きく勝ち越している。
昨年12月20日に『USA Today』へ掲載された記事の中で、エリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)が「彼はもっと前にヒートのユニフォームへ袖を通しているべきだったね」と口にするほど、バトラーはすぐさまチームへ溶け込み、アグレッシブなプレーで強烈な存在感を見せており、ヒートはイースト4位という好位置でシーズン中断を迎えた。
5月3日に行われたインスタライブで、バトラーは「普段と変わらない生活をしている。だから退屈さ。俺にとっては同じことなんだ。俺たちはカリフォルニア州(サンディエゴ)にいる。朝だってものすごく早く起きてる。5時30分にはトレーニングしているくらいだ」と話しており、いつでも戦えるコンディションをキープしていると言っていい。
すでにヒートは2年ぶりのプレーオフ進出を決めており、7月31日からフロリダ州オーランドで行われる第二幕ではシード順をさらに上げるべく、再び結束して臨むことだろう。
バトラー率いるヒートは、オールスター後の戦績が6勝5敗と決して絶好調とは言えない。ただし、これは今年2月に3チーム間のトレードでアンドレ・イグダーラ、ジェイ・クラウダー、ソロモン・ヒルをロースターに加えたことで、新加入選手たちとのケミストリーを構築しようとしていたことが要因の1つ。
オールスターブレイクに突入後、バトラーが地元メディア『South Florida Sun Sentinel』へ「俺たちは悪いチームじゃない。だが自分たちが望む位置にはいない。まだね。でもいいさ。俺たちは向上し続けて前に進んでいく。これからも試合に勝つための方法を模索していくだけ。特にアウェーではね」と語っていたことから、チームはまだ進化の途中と言っていい。
ヒートはここまでアウェーで14勝19敗(勝率42.4%)と負け越しているのだが、バトラー自身はアウェーで平均20.8得点6.6リバウンド5.4アシストを残しており、ショット成功率全般を見ても、実はホーム(同19.7得点6.7リバウンド6.9アシスト)よりも好成績を残している。
だがアシスト数の差が示すように、チームメートたちがアウェーでは思うように得点できていない点が気がかり。今月末からスタートする“シーディングゲーム”(順位決定戦)の会場は、フロリダ州にあるとはいえ、ヒートの選手たちにとってはアウェーの感覚となるだけに、チームとして策を講じておくべきだろう。
もっとも、バトラーはヒートについてポジティブな考えを持ち続けており、リーグきっての“闘将”として再びチームを盛り立てていくに違いない。
「正直なところ、俺はこのチームが向かっている方向についてワクワクしている。このチームのヤツらは向上することしか考えちゃいない。皆がそのことをケアしているし、皆が勝ちたがってるんだ。そのメンタリティーは持たなきゃいけないものだけど、俺はこのチームに何か特別なものを感じるね。このグループにいることができてうれしい。きっと皆がこのグループにいてハッピーだと思ってるんじゃないかな」。
4位のヒートの上には3位のボストン・セルティックスが2.5ゲーム差、5位のインディアナ・ペイサーズと6位のフィラデルフィア・セブンティシクサーズがそれぞれ2.0ゲーム差で追いかけているものの、バトラーの視界にはセルティックスしか見えていないのではないか。セルティックスとのゲーム差を縮めて追い越し、イースト3位でプレーオフを迎えることにフォーカスしているはずだ。
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