「私はものすごく多くの時間を注いできたし、(サンアントニオも)多大な時間を注いでくれたことで今の私を構築し、向上させてくれた」
12月31日(現地時間30日、日付は以下同)に行なわれたロサンゼルス・レイカーズとサンアントニオ・スパーズによる一戦は、この日36歳の誕生日を迎えたレブロン・ジェームズが26得点5リバウンド8アシストを残し、前人未到となるレギュラーシーズン1000試合連続の2ケタ得点を達成し、レイカーズが121-107で勝利を収めた。
ホームのAT&Tセンターで昨季覇者を迎えたスパーズだったが、この日はデジャンテ・マレーがゲームハイの29得点に7リバウンド7アシスト、デマー・デローザンが23得点5リバウンド6アシスト、パティ・ミルズが12得点4アシスト、ロニー・ウォーカー4世が11得点を残すも勝利できず、今季戦績を2勝2敗とした。
もっとも、この試合はレブロンの金字塔とも言える快記録とは別に、NBA初の出来事が起こった。スパーズのグレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)が第2クォーター残り約4分に退場し、アシスタントコーチのベッキー・ハモンがポポヴィッチに代わってヘッドコーチを務めたことで、公式戦で女性の指揮官が初めて指揮を執ったのである。
「間違いなく大変なことであり、本当に起きた瞬間。私はこれまでこの組織の一員だった。2007年にトレードでやってきてから、サンアントニオにはずっといたし、スパーズという組織の一員で、(WNBAのサンアントニオ)スターズにいたから、かれこれ13年間ね。だから私はものすごく多くの時間を注いできたし、(サンアントニオも)多大な時間を注いでくれたことで今の私を構築し、向上させてくれた」。
ハモンは試合後、公式戦で初の女性指揮官となった喜びを口にした。周囲の騒ぎとは裏腹に、ハモンは突如ポポヴィッチ退場によって指揮官をこなすことになったため、「深く考える時間はなかったし、自分の携帯電話を見る時間もなかった。だからAT&Tセンターの外で何が起きているのかなんて全然知らなかった」と明かした。
2014年8月にスパーズのアシスタントコーチ(AC)になってから今季で7年目を迎えたハモンについて、ポポヴィッチHCはレイカーズ戦前にこう語っている。
「(ACとして)雇ったのは彼女にはものすごい能力があると思ったからだ。彼女がプレーしているのを見たのが全ての始まりだった。彼女はリーダーであり、チームの皆が彼女に反応を示していたし、ものすごく自信に満ちていた。彼女にはこのリーグで優秀なコーチになるために必要な要素がすべて備わっていたんだ」(抄訳)。
NBA史上屈指の名将、ポポヴィッチの下でコーチ経験を積んできたハモン。ここ数シーズンは他チームのHC候補に何度も名前が挙がっているだけに、近い将来ハモンがNBAチームでフルタイムのHCを務める日が訪れるとしても、決して驚くことではないだろう。