スーパースター候補、トレイ・ヤングが歩む勝者への道

ザムストがサポートするトレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)[写真]=Getty Images

スーパースターへの階段を順調にステップアップ

 テキサス州ラボックで生まれ、高校・大学をオクラホマ州で過ごした細身の男は、全米有数のバスケットボールプレーヤーとして評価を高めていき、オクラホマ大学でプレーした2017-18シーズンは平均27.4得点8.7アシストと、いずれも全米トップの数字をたたき出し、NBAドラフトへアーリーエントリーした。

 男の名はトレイ・ヤング。185センチ81キロと、NBAという世界最高のリーグでは小柄な部類に入る。だが18年のドラフト1巡目全体5位という高順位でダラス・マーベリックスから指名され、当日にアトランタ・ホークスが3位で指名したルカ・ドンチッチとのトレードで翌19年のドラフト指名権と共にホークスへ移籍し、NBAキャリアをスタート。

 17-18シーズンにプレーオフ連続出場が10年で途絶えたホークスは、新たにチームの核となる選手を求めており、ヤングという当時19歳のガードに白羽の矢を立てたのである。

得点力の高いポイントガードとして年々評価を高めるヤング [写真]=Getty Images


 するとヤングは開幕から先発ポイントガードの座を射止め、3戦目に35得点11アシストの大暴れでホークスに初勝利をもたらすと、その後も得点とアシストを量産。平均19.1得点8.1アシストと堂々たる成績を残し、新人ベスト5と評されるオールルーキーファーストチームに満票で選出。新人王に輝いたドンチッチと共に、リーグトップクラスのルーキーとして18-19シーズンを終えた。

 翌19-20シーズン。ヤングはリーグ4位の平均29.6得点に同2位の9.3アシストを残し、キャリア2年目でオールスターに初出場。ファン投票で282万9969票を獲得してイースタン・カンファレンスのバックコート部門でトップとなり、プレーヤー投票(3位)、メディア投票(2位)でも上位に入ったことでスターターに抜擢され、リーグ有数のスコアリングガードとしての地位を確立したと言っていいだろう。

 だがヤングにとって、過去2シーズンの目標は「プレーオフへ進出すること」だった。ルーキーシーズンのチーム戦績はイースト12位の29勝53敗、昨シーズンは新型コロナウイルスの影響により昨年3月中旬にシーズンを中断した時点でイースト14位の20勝47敗だったため、プレーオフ進出をかけたシーディングゲーム(順位決定戦)に参戦できず、一足早くシーズンを終えることに。

 若手ながらホークスのリーダー役もこなすヤングは、昨シーズンに負けが込んでいた時に「誰もが今勝ちたがっている。僕だって今勝ちたいんだ。僕は今よりも、もっともっと勝ちたい。だからすごくつらいのは、この状況でポジティブな姿勢を保とうとすること。僕はどうやってポジティブな姿勢を保っていくかを学ばなければいけない。リーダーとして、僕は自分だけじゃなくてチームメートたちにもポジティブな姿勢を維持させていく必要がある」と漏らしており、苦しい胸の内を明かしていた。

 NBAという舞台で1試合40得点以上や10アシスト以上を連発するヤングは、今年1月末には史上最速で3ポイント400本成功をクリア。今シーズンもここまで平均26.0得点9.4アシストという好成績を残している。

ヤングが欲するのは勝利のみ。プレーオフ出場が目下の目標

 とはいえ、ヤングが欲するのは勝利のみ。「僕は自分のことをただのスコアラー、スタッツばかりにこだわる人間だという話が嫌いでね。スタッツは何の意味も持たない。僕はスタッツにこだわるような人間じゃない。勝利こそが全てなんだ」と口にしている。

 そうして迎えた20-21シーズン。ホークスは4年ぶりのプレーオフ出場を果たすべく、大型補強を断行。ベテランのラジョン・ロンドダニーロ・ガリナーリ、中堅のトニー・スネルにソロモン・ヒルといった選手を加え、本格的にプレーオフを狙える陣容を整えた。だがチームの中心はオールスターガードのヤングに変わりはない。

「過去2年間というもの、皆がそろって彼をブリッツ(ディフェンダーがボールマンに対してプレッシャーをかけつつ、突如もう1人のディフェンダーがダブルチームを仕掛けること)してボールを手放そうとしてきた。でも彼は味方を見つけてすばらしい仕事をしていた。今年のチームはシューター陣が多くいるから、これまでよりも多くのスペースを作れると思う」とベテランシューターのガリナーリは言う。

 ヤングは自慢のシュート力に加え、ボールハンドリングやパスにも定評がある。2メンゲームから1つのフェイクやディレクションチェンジでスペースを作り出して長距離砲、変幻自在のドライブからディフェンダーの隙を見逃さずにフローターを放り込むなど、得点方法はバリエーション豊富だ。

 さらにダブルチームされてもビハインド・ザ・バックパスを鮮やかにさばいてチームメートのオープンショットを演出したり、ペイントエリアの密集地帯から的確なパス、バックボードを使ったロブパスでアリウープダンクをおぜん立てするなど、多彩なパスを繰り出すため、相手チームからすればガードするのが困難な選手なのは間違いない。

 ペイントエリアで貴重な働きを見せるクリント・カペラは「僕が走っていれば、トレイのような男ならパスしてくれる。僕がリム近くで動いていれば、ロブパスだって繰り出してくれるんだ」と、パサーとしてのヤングに信頼を寄せている。

 ヤング率いるホークスは、2月14日(現地時間13日、日付は以下同)終了時点でイースト9位タイの11勝15敗。ケガで複数の選手が欠場しており、戦力ダウンとなったことで、直近10試合で3勝7敗と調子を落としているものの、プレーオフに進出できる可能性はまだ十分にある。

 今シーズン、ヤングがキャリア初のプレーオフ出場を果たすうえで課題となるのが最後の12分間で勝ち切ること。ホークスは第4クォーター開始時点にリードしていた試合で9勝7敗。さらにこのクォーターのいずれかの時間帯でリードを手にしながら、9試合も落としており、14日のインディアナ・ペイサーズ戦では最終クォーターに26-41と圧倒されて敗れた。
※2月14日終了時点

「どのようにしたらもっとうまく締めくくることができるかを身に付ける必要がある。相手チームの多くは、現時点でこのチームが準備しきれていないことを仕掛けてきている。多種多様なボックス&ワンや、フルコートでディナイすることとかをね。僕たちはそういったことに対して臨機応変に学んでいるところなんだ。チームとしてその部分でもっとうまくやっていかなきゃいけない」とヤングは現状を分析する。

 ホークスは誰もが認めるヤングのチーム。オフェンシブ・レーティング(100ポゼッションにおける得点)はヤングの出場時が117.6で、不在時になると103.5までダウンしているほどその存在感は大きい。そのため、終盤に勝ち切るべく、相手チームが今後もヤングだけに的を絞って厳しいマークを敷き、ボールを入れさせないディフェンスを仕掛けてくることは十分予想できる。

 だがヤングは個人としてではなく、あくまでチームとして勝ち切ることを強調。「このリーグで勝つことはものすごく難しい。今でさえ、(勝負どころで)重要なショットを決め切り、相手をストップして、勝利する方法を模索している。それが今の僕らにとって、ものすごく重要なことなんだ」と前を向いた。

“Another Day, Another Opportunity”(また新しい1日、新たな機会だ)

 自身のツイッターでほぼ毎日このフレーズを投稿しているように、ヤングは1日1日を新たな機会と捉え、大切に過ごしている。ホークスを勝利へと導き、NBAという厳しい世界で真の勝者となるべく、ヤングは今後も挑戦し続けていく。

ヤングはあくまで勝利にこだわる。今後の活躍にも注目だ [写真]=Getty Images

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