高騰の一途を辿るスポーツオークション市場。最近ではNFT(非代替トークン=デジタル資産)も脚光を浴びており、その勢いは止まるところを知らない。
最近ではレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)のルーキーカードが、スポーツトレーディングカードの歴代最高額に並ぶ520万ドル(約5億6500万円)で落札されたことが大きな話題となったが、NBAからまた新たなレコードが誕生した。
バスケットボールの歴史において、今後塗り替えられることのないであろう脅威の記録保持者、ウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)がルーキー時代に着用したユニフォームに、バスケットボールジャージ史上最高額となる127万5000ドル(約1億3800万円)の値がついた。
SCP Auctions sold this unbelievable Wilt Chamberlain home uniform from his rookie season in 1959-60 through the Collectable app. A world record price of $1,275,000 for a game worn basketball jersey! Shares sold out within one hour! #WorldRecord #WiltChamberlain @CollectableApp pic.twitter.com/GINnvChhYr
— SCP Auctions (@SCPAuctions) May 6, 2021
「あらゆるスポーツユニフォームの中で最も優れたもののひとつ」
今回の販売先となったのは、「Collectable(コレクタブル)」という成長著しい投資プラットフォームだ。近年、スポーツグッズはS&P 500をはじめとする金融系投資を大幅に上回る実績を残している。ただし、従来のオークションは一部の富裕層のみだけが参加・購入できる狭き世界だった。そこで「Collectable」は“共同保有”という概念を提唱し、誰もが少額からメモリアルなアイテムの所有権を保有できるサービスを展開している。
「Collectable」に出品されたチェンバレンのジャージは、彼がルーキー時代の1959-60シーズンにフィラデルフィア・ウォリアーズで着用していたホームゲームユニフォーム。チェンバレンといえば、43得点28リバウンドという鮮烈なスタッツでNBAデビューを果たし、その年はルーキーにして得点王、リバウンド王、オールスターMVP、シーズンMVP、新人王とアワードを総ナメにした伝説がある。
そうした経歴もあって、チェンバレンのルーキーアイテムは、スポーツコレクターたちにとっての人気銘柄のひとつ。「Collectable」によると、1961年に発売されたチェンバレンの「Fleer」社製ルーキーカード(PSA 9)は、ここ数年で市場価格が3万8000ドル(約400万円)から46万1000ドル(約5000万円)と10倍以上に跳ね上がっているという。
NBAのユニフォーム史において新たな記録を打ち立てたチェンバレンのジャージは、「Mears Memorabilia Evaluation and Research Services」の鑑定で最高クラスのA9を与えられている。また、「Collectable」のサイト内では、スポーツ写真家のニール・ライファーが撮影したカラー写真と一致していることから、1960年1月5日にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたミネアポリス・レイカーズとの一戦で着用されたものと紹介。バスケットボールの世界において、上下がセットになっていることは極めて珍しく、出品者である「SCP Auctions」は、「世界で最も状態の良いバスケットボールのユニフォームであるだけでなく、あらゆるスポーツユニフォームの中で最も優れたもののひとつ」と説明している。
1口わずか10ドルから投資可能なチェンバレンのルーキージャージは、出品者である「SCP Auctions」の創設者兼社長デイビッド・コーラーが31万8750ドル(3500万円)分の保有権を所持し、残りを約1000人の投資家で分配し、保有する結果に。
果たして、このジャージは将来的にどこまで価格が上がるのか。いずれにせよ、スポーツオークション市場はもうしばらく、バブルの時期を継続するのではないだろうか。
文=Meiji