ドウェイン・ウェイドは現在、ユタ・ジャズの共同オーナーを務めている。現役時代の多くをマイアミ・ヒートで過ごし、過去には古巣のオーナーシップにも関心を示していたフラッシュ。ヒートのオーナーであるミッキー・アリソンがその席を用意する可能性を示唆したこともあるが、意外にも、ウェイドが新たな職場に選んだのは東海岸はおろか、海にも面していないユタ州だった。
なぜ、ウェイドはジャズの共同オーナーになったのか。2003年のドラフト5位は最近、かつて自身がベストドレッサーに選出されたこともある世界的ファッション誌『GQ』のインタビュー内で、その真実を赤裸々に語っている。
「僕の人生のフェーズにおいて、全てがぴったりだった」
ウェイドによると、ジャズのオーナーグループに加入した理由には、筆頭オーナーであるライアン・スミスの存在が大きいという。法人向けソフトウェア企業「クアルトリクス」の共同創業者兼最高経営責任者であるスミスは、米ビジネス誌『フォーチュン』が発表する注目の若手リーダーリスト“40 Under 40”にも選出される敏腕。また、大のバスケットボール好きでもあり、ウェイドとはかねてから友人関係にあったようだ。
「僕は、バスケットボールのキャリアとビジネスのキャリアを別のものと考えている。ライアンとは友人で、彼が42歳で、僕は39歳(と年齢も近い)。彼は僕がいつか参入したい技術系のビジネスに携わっている。そして、僕はバスケットボールの観点から何かをもたらすことができるし、彼もその価値観を理解してくれているんだ。僕は今、ロサンゼルスに住んでいて、ユタまでは飛行機で1時間15分だしね。僕の人生のフェーズにおいて、全てがぴったりだったんだよ」
ジャズのオーナーになる前に、ウェイドの周りでは多くの話し合いが行われたという。特に、ファミリーファーストのウェイドにとって、生活が大きく変化する家族の承認を得るのは、何よりも大切だったに違いない。しかし、誠実なウェイドは、信頼する家族にすべてを明かしたという。
「まずはじめに、ライアンと僕はこの関係性が気持ちの良いものであることを納得する必要があった。そして、僕の妻や子どもたちはすべてを知っていて、ザヤ(ウェイドの子ども)も全てを理解している。奨学金のこと、エンサークルについてなど、ライアンがやってきたすべてのことを話したんだ。僕はザヤに、ライアンの妻が発起人となったエンサークルがLGBTQの人々にとって安心できるコミュニティであることも伝えた。モルモン教についてはすべてを理解しているわけではないけど、ユタ・ジャズ以外のことについても話したよ。妻は祝福し、同意してくれた。だから、気持ちよくユタに来ることができたんだ」
一方で、ヒートファンは、ウェイドがマイアミに帰還しなかったことを寂しく感じているかもしれない。だが、ウェイドは『GQ』からの「ヒートファンから見捨てたと思われているか」という問いについて、以下のように答えている。
「いいや、全くそんなことはない。僕らのできることは、自分の人生を生き、自分の家族ために何かをすることだけ。僕は14年半のキャリアで、僕のすべてを彼らに捧げたんだ。ヒートファンのみんなは、たとえ僕の所在がそこになくても、僕や僕の家族を受け入れてくれる。僕には愛があって、ファンも愛してくれていると思う。でも、僕は1つの場所に留まるような人間ではなく、蝶のような存在。だから、動かなければいけないんだ。ジャズの共同オーナーを務めることは、僕の人生の旅路の次なるステップに過ぎない。でも、僕はマイアミを心の底から愛しているよ」
文=Meiji