今年のNBAファイナルに勝ち進んだフェニックス・サンズとミルウォーキー・バックスの選手たちの中で、唯一のファイナル出場経験を持つのがジェイ・クラウダー(サンズ)だ。
キャリア9年目のベテランは、3ポイントとディフェンスに定評がある‟3&Dプレーヤー”として知られる選手で、泥臭い仕事も黙々とこなすグルーガイ。昨季マイアミ・ヒートのスターターとしてファイナルでプレーし、今季はサンズで2年連続のファイナル進出。
7月7日(現地時間6日、日付は以下同)の第1戦は、フィールドゴール0.0パーセント(0/8)の計1得点に9リバウンド1ブロックながら、出場時間帯における得失点差では両チーム最多の+19を記録して勝利に貢献し、31歳の誕生日を白星で飾った。
9日の第2戦では初戦で5投中成功ゼロだった3ポイントが60.0パーセント(3/5)で決まり、11得点10リバウンドのダブルダブルに3アシスト1スティールをマーク。得失点差でもデビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトンと並んで両チーム最多の+10と、攻防両面で存在感を見せていた。
サンズは第2戦でヤニス・アデトクンボに42得点を奪われたものの、第1戦で29得点していたクリス・ミドルトンをフィールドゴール31.3パーセント(5/16)の計11得点に抑え込むことに成功。
クラウダーは昨年のプレーオフでバックスと対戦しており、アデトクンボ相手にも好守を見せていた。初戦と比較すると第2戦ではターンアラウンドジャンパーを決められ、ファウルもかさんでしまったが、ミドルトンについてはこう話していた。
「僕らは彼に決して快適にプレーさせていなかったと思う。このことについては皆で話していて、彼にはこれまでとは違ったディフェンスを見せてやりたかったんだ。このチームの皆はいい仕事をしていたと思うね。彼にはできるだけタフにプレーさせようとトライしたんだ。彼はとてつもない選手であり、あのチームにとってはゴー・トゥ・ガイの1人だからね。そこで僕らは難しいプレーを仕向けたのさ。特にミケル・ブリッジズが最高の仕事をしてくれたと思う」。
シリーズ2連勝としたサンズは、フランチャイズ史上初のNBAチャンピオンまであと2勝となったのだが、クラウダーは「0勝0敗。戦うこと。相手はタフなチームだからね。僕らが(次戦から)タフな環境に身を置くことになるのは明らかだ。僕らは0勝0敗で次戦に臨むというマインドセットでいなきゃいけない」と気を引き締めていた。
ショットが絶不調だった初戦と入り始めた第2戦、クラウダーにとっては両極端と言ってもいいファイナルなのだが、本人は「あんまりそこを見ないようにしている。僕らは勝利したからね。もちろん、チームが負けていたら、自分自身のプレーに失望していただろう。でも誰だって不調な日はあるもので、このチームはすばらしいチームなんだ」と口にし、さらにこう続けている。
「僕としては、コートの両エンドでプレーできていること、ファクターになっていることがすごく大きいんだ。それにこのチームは十分に選手層が厚い。僕だけでなく、ブックやクリス(ポール)が不調な夜でも、このチームには勝利できるだけの力がある。ロッカールームでしっかりと話し合えるし、互いのことを本当に信頼しているからね」。
ブッカー、ポールという破壊力抜群のガード陣を擁するサンズだが、第2戦ではブリッジズが27得点と躍動。エイトンも10得点11リバウンドのダブルダブルに4アシスト3スティール2ブロックとマルチな働きを見せており、バックスに主導権を譲らない戦いを見せていた。
敵地に移っても、この2戦と同様の戦いぶりで白星をつかむことができるのか。これから先も、好調を維持するサンズに注目していきたい。