8月3日に東京オリンピックの準々決勝でスペイン代表戦に臨んだアメリカ代表は、第2クォーター残り約3分の時点で29-39の劣勢をしいられた。
スペインはリッキー・ルビオ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)が得点面で引っ張り、ベンチスタートのビリー・エルナンゴメス(ニューオーリンズ・ペリカンズ)が前半だけで3ブロックをマークするなどリング下で存在感を示し、アメリカ代表を苦しめていた。
「相手は出だしからものすごいエナジーを持ち込んでプレーしていた。で、俺たちはというとちょっと苦しんでいたんだ。ショットが思うように入らなかった。それがディフェンス面でも少し影響していた」とケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)が振り返る。
もっとも、アメリカはそこから一気に挽回する。デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)の3ポイントプレーを皮切りに、デュラントが3ポイントとダンクを決めると、前半終了間際にはザック・ラヴィーン(シカゴ・ブルズ)がボースハンドダンクをさく裂させて43-43で試合を折り返す。
「でも第2クォーターの終わりからリズムに乗り、相手の攻撃をストップできたし、ドライブして点を積み重ねることができ、流れをつかむことができたんだ。で、第3クォーターで自分たちが必要としていることがしっかりできたのさ」とデュラントが明かしたように、アメリカは後半が始まるとスペインを徐々に突き放し、最終スコア95-81で勝利し、準決勝進出を決めた。
そのアメリカをけん引したのは紛れもなくデュラントだった。ボールムーブでスペインを翻弄したアメリカは、デュラントが後半開始から約4分間で右コーナー、右ウイングから2本と計3本連続で3ポイントを放り込むと、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)、ラヴィーンの長距離砲も決まって一気に突き放す。
スペインは第3クォーターで5分以上に渡ってフィールドゴールを決められず、ルビオがフリースローでつなぐもアメリカが流れを完全に引き寄せた。
勝利したアメリカでは、デュラントが29得点4アシスト2スティール、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)が13得点、ドリュー・ホリデー(ミルウォーキー・バックス)が12得点5アシスト、リラードが11得点4リバウンド4アシスト、ラヴィーンが10得点、ブッカーが9得点9リバウンド5アシスト3スティールと攻防両面でハッスルプレーを見せた。
準決勝へと駒を進めたアメリカ。「俺たちは今、いい位置まで来ている。皆がそれぞれの役割を理解し始めているし、チームとしてより快適にプレーできるようになった」とデュラントが語れば、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)も「このチームが持つポテンシャルは計り知れないと俺は思うね。残念なことに、俺たちにはあと2試合しかない。だからコートに足を踏み入れたら、毎回お互いを高め合い続けられるようにしていきたい」と自信を覗かせている。
5日に行なわれる準決勝の相手はオーストラリア。2019年のFIBAワールドカップ前、そして今大会前のエキシビジョンゲームで敗れた相手だけに、アメリカとしてはここ2年間における天敵と言っていい相手である。
「どのゲームも違った戦術がある。ゲームプランを練って試合に臨むが、試合中にアジャストすることが本当に重要になってくる。それは選手たちがどんなプレーをしているか、どんなマッチアップになっているか、スコアと時間がどうなっているか、ディフェンスとオフェンスのどちらが必要なのか、そういったことがコート上で繰り広げられている。我々としては、できる限りベストな決断を下していく。今夜はまさにそれができたんだ」。
グレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ/サンアントニオ・スパーズ)はそう話しており、オーストラリアとの決勝への切符をかけた大一番でも、試合中のアジャストが勝敗のカギを握ることになってくるだろう。