「挑戦し続けることで、さらなる高みへ」…馬場雄大が明かしたNBL移籍への想い

記者会見に登壇した馬場

 7月20日、前日に発表されたメルボルン・ユナイテッドへの移籍に関して、男子日本代表馬場雄大が都内で記者会見を実施した。

 会見には馬場のほか、メルボルン・ユナイテッドの相談役であるジェレミー・ヴォグラー氏、日本バスケットボール協会会長の三屋裕子氏が登壇。

 はじめにヴォグラー氏が流暢な日本語で「今日はメルボルンユナイテッドにとって記念すべき日であり、その感動を皆様とともに分かち合えることを大変喜ばしく思っております」と馬場に対して歓迎の意を示すと、馬場も「アジアでもレベルの高いオーストラリアでプレーすることをすごく楽しみにしていますし、チームの一員になれることをすごく光栄に思っています。自分の夢とチームのために全力を尽くしたいと思っています」とNBL挑戦への意気込みを日本語と英語の両方で語った。

 また三屋会長は馬場へ激励の言葉をかけるとともに、同日が「我々JBAにとっても、そして日本のバスケット界にとっても大きな大きな飛躍の一歩になった日だと思っています」と今回の移籍に対して喜びのコメントを残した。

 その後に設けられた質疑応答の時間で、記者から最初に問われたのは「今回の移籍の経緯」。それに対して馬場は新型コロナウイルス感染拡大の影響でGリーグが中止になったことに言及。再開のめども立っていないという状況に対し、「ゲーム感覚を失わないためにも、どこかのチームに所属したい気持ちがあった」と当時の心境を明かした。その中で自身の課題として「英語」を挙げ、その向上の為にも英語圏でプレーすることを希望。自身のエージェントがオーストラリアとのつながりが強かったことから、メルボルン・ユナイテッドとの契約に至ったようだ。

「僕にとって、日本に残るということは立ち止まることと一緒」

「オーストラリアはまたアメリカとは違ったタイプのレベルの高さがあると思うので、そこを楽しみながらやっていきたい」とNBLでのプレーに強い意欲を示す馬場。自身の海外挑戦が日本のバスケット界に与える影響については、「僕の夢であるNBAに入るということに関して、アメリカの大学からさまざまな方法があることを、僕の活躍を通じて証明したい」と話した。

 特に子どもたちに与える影響については強く意識しているようで、「僕らの世代が苦労して子どもたちに見せていかなければいけない。それが僕たちの世代の責任。多くの選択肢を彼らに与えたいという思いで今はプレーしています」とコメント。自身の夢と日本の若いバスケットボールプレーヤーの為にも、NBAへの新たな道を開拓したいという強い思いを言葉に乗せた。

 NBAを目指す上で自身でも課題として認識している「英語」を向上するためにも、英語圏であるオーストラリアでプレーすることはプラスに働くだろう。ではプレー面については、NBLでどのような部分を磨きたいと考えているのか。
 
 馬場はGリーグでの経験を踏まえ、「すべてが平均的にできるよりも何か突出したもの、自分の強みとなるものを持つことが、NBA選手になるための一番の近道」としたうえで、Gリーグで評価された3ポイントやディフェンス力を強みとして継続して示しつつも、「NBLではピック&ロールも多用されていると聞くので、アルバルク(東京)でやってきた成果も見せたい」とコメント。目指すのは「オフェンス、ディフェンス、ツーウェイで活躍できる選手」だという。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在オーストラリアは入国が制限されている。馬場もいまだビザが下りておらず、渡豪はビザが下り次第という状況だという。この特殊な状況ゆえに日本の整った環境でプレーすることも考えたそうだが、「僕にとって、日本に残るということは立ち止まることと一緒」という思いから海外挑戦継続を決断。「挑戦し続けることが刺激となって、さらなる高みへと進ませてくれると思っているので」と夢のNBAに近づくためにもNBLでのプレーを選択した。

 今回の移籍に際して、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)からも「すごくスマートですね」と連絡を受けたという馬場。オーストラリアでのプレーを経て、目標とするNBA入りを果たし、八村や渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)らとしのぎを削る未来に期待したい。

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