“急造PG”広瀬が攻守に躍動、我慢強く戦いぬいたSR渋谷が新潟に価値ある連勝

伊藤駿の穴を埋めたSR渋谷の広瀬健太 [写真]=B.LEAGUE

 11月27日、Bリーグ第10節第2戦が行われ、西地区3位のサンロッカーズ渋谷はホームの青山学院記念館で同地区4位につける新潟アルビレックスBBと対戦した。

 23日、24日に行われた第9節を含め、1週間で5試合を戦う強行日程だが、プレーオフ進出に向け、同地区首位川崎ブレイブサンダース、2位三遠ネオフェニックスを追う立場としては、両チームとも負けられない戦いとなる。

 第1クォーターはクリント・チャップマンダバンテ・ガードナーの強力コンビがペイントエリアを固めて新潟が優位に試合を進める。両外国籍選手に加え、佐藤公威が3ポイントを2本決めるなど、インサイドとアウトサイドを巧みに使い分ける攻撃で6ポイントのリードを奪った。SR渋谷はアイラ・ブラウンが一人で9点を挙げて気を吐くが、チームとしてはシュート成功率が33.3パーセントと精度を欠いた。

 第2クォーターの立ちあがりは、インサイドアウトから池田雄一が3ポイントを決めた新潟のペースに見えたものの、SR渋谷がすぐさまタイムアウトを取って軌道修正を図る。タイムアウト明けからタイトなディフェンスでインサイドへの進入を許さず、新潟はターンオーバーを頻発。SR渋谷は連続で9ポイントを奪って逆転に成功し、32-31で前半を折り返した。しかし、終了間際に伊藤駿が右ひざを負傷、残り時間は前夜17点を挙げたポイントガード抜きでの戦いを強いられることとなった。

 後半は互いにトランジションから得点を取り合う展開となるが、シュート精度が向上したSR渋谷が主導権を握る。アールティー・グイン大塚裕土清水太志郎の連続3ポイントでリードを奪うと、残り1分38秒にはビッグプレーが飛びだした。ブラウンのブロックショットからチャド・ポスチュマスがリバウンドを拾い、広瀬健太のアシストから大塚裕土がまたも3ポイントを沈めてみせた。大塚は試合後、「早くスターターの選手を助けたかった。(ファースト)ブレイクからの3ポイントは一番得意な形」と語ったが、このプレーでSR渋谷が流れを引き寄せ、55-49とリードを6ポイントに広げて第3クォーターを終了した。

 ファイナルクォーター、新潟は五十嵐圭畠山俊樹のツーガードの陣形で必死の追いあげを見せる。ゾーンディフェンスを敷くSR渋谷に対し、インサイドはガードナーとスティーブ・バン・トリースのポストプレー、アウトサイドからは佐藤公威と畠山の3ポイント攻勢で、一時は新潟が62-63とリードを奪う。しかし、SR渋谷は“急造ポイントガード”広瀬健太が驚異的な球際の強さで攻守に奮闘する。激しいディフェンスでボールを奪うと、再度ボールを受けてから3ポイントを決めて再びリードを奪うと、直後も積極的なドライブを連続して、ペイント内でファウルを誘い、5本のフリースローを決めて自らリードを広げる活躍。最後は満原優樹がこのクォーター3本目となる3ポイントを沈め、勝負を決定づけた。

 最終スコアは83-75。3ポイントを12本成功させ、成功率48パーセントをマークしたSR渋谷に対し、新潟は3ポイントの成功率が30.8パーセントと伸び悩み、要のチャップマン、ガードナーがともに20ポイント以下にとどまった。新潟の庄司和広ヘッドコーチも「ペイント内ポイントが34というのは(新潟としては)少ない。ターンオーバーも15と多く、内容も非常に悪かった。ターンオーバーからの得点で(新潟は2に対してSR渋谷は12と)10ポイントも差をつけられてしまったとおり、オフェンスの組み立てがうまくいかなかった」と、敗因を分析した。

 SR渋谷は、ホームでは第3節、富山グラウジーズ戦以来の同一カード2連勝。3位争いの相手である新潟に対し、価値ある連勝となった。BTテーブスHCが「大事な場面で非常に我慢強く戦うことができた。この勝利はチーム一丸となって勝ち取ったもの」と語ったとおり、1月に控える第92回天皇杯 全日本総合バスケットボール選手権大会(オールジャパン2017)、さらにその先に待ち受けるプレーオフ争いに向け、今後につながる白星になったと言えるだろう。

 Bリーグは次節、他地区との交流戦が開催される。SR渋谷は12月3日、敵地の船橋アリーナに乗りこみ、千葉ジェッツと対戦する。

文=山口晋平

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