レギュラーシーズンを44勝16敗、東地区2位でチャンピオンシップ(以下CS)進出を決めたアルバルク東京。決して満足できる結果ではなかったであろう60試合を終え、13日にCSクォーターファイナルの三遠ネオフェニックス戦を迎える。Bリーグ初代王者を目標に掲げる“タレント軍団”のエース、田中大貴にCSへ向けての意気込みを聞いた。
――長いレギュラーシーズンが終了し、いよいよCSが始まりますね。
田中 そうですね。個人的には、CSだからと言って特に何かを変えるわけではなく、レギュラーシーズンのように、いつもどおり自分の良さが出せるよう試合に入っていきたいと思っています。
――CS初戦の対戦相手は三遠ネオフェニックスです。三遠の印象を聞かせてください。
田中 (ジョシュ)チルドレス選手を始め、能力の非常に高い選手がそろっています。日本人選手も外からのシュートがうまい。試合のポイントは「相手がやりたいことをいかに僕らがやらせないか」だと思っています。データの部分を見ても、トランジションの効率はリーグの中でうちが一番良くて、逆にトランジションのディフェンス面では三遠が一番効率良くプレーしている。「お互いにどれだけ自分たちの長所を出すことができるか」。これが勝負の行方を左右する大きなカギになるのではないかと思います。
――改めてアルバルク東京の長所を教えてください。CSを勝ち抜くために、チームはどういったところを前面に押しだしていくのでしょうか?
田中 レギュラーシーズンを見ても、僕らのディフェンスはリーグでもトップレベルにあると思っています。ですから、しっかりとハードなディフェンスを仕掛け、そこからどんどんトランジションを出して速い展開に持っていく。これが僕らのベストなオフェンスの形の一つだと思っています。自分たちで流れに乗るためにも、その機会をいかに作りだしていけるかどうかがポイントですね。
――昨シーズン、NBLではレギュラーシーズンで1位に輝きながら、プレーオフではセミファイナル敗退と悔しい経験をしました。
田中 チームとして考えると、メンバーがガラリと変わっていますし、昨年の悔しさを知っている選手は自分を含めて数名なので、今シーズンは新たな気持ちで臨むことになります。また、個人的に今シーズンのチームの良さは短期決戦のほうが優位に働くのではないかという考えを持っているので、気持ちを一新してやりたいなと思っています。
――今シーズンのアルバルク東京の良さは短期決戦により向いていると?
田中 昨シーズンまでのチームは、長い間一緒にプレーしていましたし、連係も取れていました。だから、レギュラーシーズンのような長い戦いに関しては安定した力を発揮できていたと思います。一方、今年のチームには一発の爆発力と言うか、勢いに乗った時の破壊力がある。そういった流れを自分たちで作れるかどうかもCSを戦う上でのカギだと思います。
――流れを作りだすためのポイントはどんなところでしょう?
田中 先ほども言いましたが、ディフェンスからの速い展開というのがバスケットの試合では一番勢いに乗りやすいですし、僕らもそのリズムでどんどん勢いに乗っていけると思います。ディアンテ(ギャレット)、自分、(竹内)譲次さんのように、チームにはボールをプッシュできる選手が多いので、そういう展開をいかに多く作れるかどうかが大事ですね。
――開幕前からアルバルク東京は様々な責任を背負っているという言葉を多用していました。CSを迎えるにあたって、そのあたりの気持ちはどうですか?
田中 自分たちは開幕戦を戦わせてもらいましたし、B1に所属しているチームの中でもやはり勝たなければならない存在、常に先頭を走って行かなければいけないチーム。これはみんなが自覚しています。Bリーグ初年度、CSを勝ち抜いて、アルバルクで始まり、アルバルクで終わらせられることができれば一番いいシナリオなのではないかと思います。
――優勝を狙う中、ライバルチームを挙げるとすると?
田中 天皇杯もそうですが、短期決戦は勢いに乗ったチームが一気に勝ち上がる可能性があります。そういうところを考えると、目の前の1試合1試合を大事にしないといけないという思いが強いですね。三遠との試合もどちらが勝つかわからない状況だと思いますし、僕ら以外の他の試合を見ても同じだと思います。なので、初戦の入り方が本当に大事になってきます。先のことをいろいろ考えるよりは、目の前の2試合でしっかり勝つことにフォーカスする。最初の2試合でしっかり勝てれば勢いも出てくると思いますし、いい状態で次のラウンドを迎えることができると思うので、今は目の前の試合で2勝することしか考えていません。
――開幕戦同様、CSは多方面から注目を集める戦いになりそうです。田中選手はどのようなプレーを見せたいと考えていますか?
田中 自分自身、このチームの中で長い時間コートに出させてもらっている選手の一人だと自覚しています。そこにはヘッドコーチ、スタッフたちからの信頼があると思いますし、それに対しての責任もあります。だから、どういうシチュエーションになるかはわかりませんが、最後の勝負の分かれ目になるところでは自分でシュートを打ちにいきたい。大事な場面でこそ強い責任感を持ってプレーしたいと思っています。