5月13、14日に各地で行われたB.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2016-17のクォーターファイナル。アルバルク東京との第1戦で75-90の敗戦を喫して後がない三遠ネオフェニックスは、国立代々木競技場第二体育館での第2戦に臨んだ。序盤は一進一退の攻防を制して第1クォーターで3点のリードを奪うと、第3クォーターに逆転されるまで主導権を握って試合を優位に進めたが、最後の勝負所で高い決定力を見せるA東京の前に、74-83で屈した。
藤田弘輝ヘッドコーチと、彼が率いる強い連帯感と高い結束力を誇るチームは、会場に駆けつけた大勢の三遠ブースターが送る温かい拍手の中、Bリーグ初年度の幕を降ろした。
この日の三遠は、全員で守り全員で攻めるというチームの特徴を全面に押しだし、得意のトランジションゲーム(攻守の切り替えが激しいゲームのこと)に持ちこみ、下馬評で上回るA東京を苦しめたものの、第3クォーターに逆転される。最後の最後まで諦めることなく反撃を試みたが、後一歩及ばなかった。
手繰り寄せた勝利を手中から逃した三遠の藤田HCは試合後の会見で、グッドディフェンスでA東京の攻撃を防いだ後に、アグレッシブにアタックした時のシュートを決めきれなかった時間帯を悔やんだ。「オフェンスが止まってしまった時間帯に少し硬くなり、良い判断ができなかった」
また、「第3クォーター、ザック・バランスキー選手に嫌な時間帯でシュートを入れられてしまった。しっかり決めて『さすがだな』と思いました」と、チームとして精一杯のディフェンスを遂行したにも関わらず、タフショットを沈めたA東京の選手に対し賛辞を送った。
クォーターファイナルの2試合と、Bリーグ元年の総括として、藤田HCは「目標である勝利には届かなかったが、2試合にわたり、三遠ブースターの声援は後押しになった」と熱烈なファンに対し感謝の意を述べると、「何より、このチーム(三遠)はすごく良いチーム。選手が一丸となって、一緒にバスケットボールを遂行できることが本当に楽しくて、幸せなシーズンだった。このチームを誇りに思っている」と自チームへの敬意を表した。
藤田HCは2012年に群馬クレインサンダーズのHC代行を経て、2014年に福島ファイヤーボンズの初代指揮官に就任。東野智弥氏の日本バスケットボール協会技術委員会委員長就任を受け、将来性を高く評価されて今シーズンから三遠に招かれた。わずかに力及ばず、“ジャイアントキリング”はならなかったが、その目は早くも次のシーズンを見据えている。
「今年のバスケットは間違っていないと確信しているので、来シーズンも引き続き、このバスケットを継続して、ビッグチームを食ってやります!」
激戦の末に惜しくも敗れた若き指揮官が率いる“不死鳥”の来季が早くも待ち遠しい。
文=村上成