Bリーグ元年の最終戦、互いの意地や想いがぶつかり合う入替戦を制するのは

 華々しく幕を開けたBリーグ元年。その最後を飾るのはB1ファイナルではなく、B1とB2の入替戦だ。昇格プレーオフ3位決定戦に回ったが、東地区を制した群馬クレインサンダーズ相手に快勝した広島ドラゴンフライズ。NBL時代には参戦1年目でオールジャパン(第90回天皇杯・第81回皇后杯 全日本総合バスケットボール選手権大会)決勝まで勝ち進んだ実績がありながら、B2からのスタートとなった広島。1年目から在籍する佐古賢一ヘッドコーチや坂田央らは特に、B1昇格に懸ける想いは強いはずだ。

 一方、B1残留へのラストチャンスに臨むのは横浜ビー・コルセアーズだ。残留プレーオフは秋田ノーザンハピネッツとの死闘を制して2回戦に進出した。勝てば残留決定となる富山グラウジーズ戦は、秋田戦の劇的勝利の勢いを活かしたいところだったが、試合開始の約7分間を無得点。第3クォーターには一時逆転に成功したが、そこから再び突き放され8点差で敗れた。

 入替戦はB1とB2のチームが対戦するシーズン唯一の機会。ポイントになるのは、広島のディロンと山田大治の存在だ。B2はオンザコート数が固定されていたが、B1のオンザコートルールで行われる入替戦では2人の起用法を工夫することも可能。佐古HCがどう起用するか、横浜としては読みづらいだろう。横浜は川村卓也がキーマンであることは間違いないが、竹田謙高島一貴といったスウィングマンの働きもカギを握る。川村にオフェンスのスタミナを残すためには、特に竹田と高島にディロンや朝山正悟へのディフェンスを任せたいところ。

 最後に、横浜の尺野将太HCが広島県出身であり、広島の佐古HCが横浜市出身であるという因縁についても触れておかなければならない。ともに古巣ではないといっても、故郷に誕生したプロチームとの対戦は複雑に違いない。彼らが織りなすドラマは、どのような結末が待ち受けているだろうか。来季B1の最後のイスを争うこの一発勝負は、今季のBリーグ全試合の中でも最も勝者と敗者の明暗がくっきりと分かれる戦いになる。

文=吉川哲彦

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