9月29日、2シーズン目を迎えたBリーグが開幕。横浜ビー・コルセアーズのホーム開幕戦は横浜文化体育館に滋賀レイクスターズを迎えて行われた。
試合の序盤は横浜ペース。昨シーズンからのメンバーによるコンビプレーが目を引いた。ジェイソン・ウォッシュバーンが前半だけで13得点と両チーム合わせて唯一2ケタ得点をあげるが、強引な1対1ではなく、ピック&ロールからのダイブプレーが小気味よく決まり、リードを広げていく。37-28と9点リードで横浜が前半を折り返した。
また横浜は、新加入の田渡凌や身長221センチのハシーム・サビートが互いの持ち味を発揮。田渡は落ち着いたゲームメークと、チャンスと見ればすかさずシュートを狙う積極性を見せ、サビートはサイズを活かしたブロックショットで会場を沸かせた。
しかし、後半に入ると試合の流れが一転する。ハーフタイムに滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは「これまで取り組んできたものを出せばいい」と、ディフェンスのプレッシャーを上げることを指示。すると、滋賀のオールコートのプレスディフェンスに横浜のガード陣が浮足立つ。ターンオーバーが続き、自分たちからリズムを失っていった。
「流れを引き戻せなかった」と試合後、横浜の古田悟HCは悔しがったが、ここ1本という場面でシュートが決まっていれば横浜にもリズムを奪い返せる場面があったが、タフショットを強いられシュート確率が下がっていく。第4クォーター残り9分15秒の場面で滋賀のオマール・サムハンにバスケットカウントを決められ、さらにボーナススローを入れられて逆転を許すと、そのままリードを広げられ、試合終了のブザーを聞くことになった。
後半の得点が19点に終わった横浜に対し、滋賀は司令塔の並里成がスクリーンを使って、切れのあるドライブからレイアップという得意のプレーでオフェンスをリード。チーム最多の18得点を挙げた。また、スモールフォワードの長谷川智伸は3ポイントシュートやドライブでゴールにアタック。こちらは15得点と、日本人選手2人が外国籍選手の得点を上回ったのも、開幕したばかりのチームにあって滋賀には明るい材料だろう。
この開幕戦は、今シーズンから指揮を執る新HC同士の対戦という側面もあった。当然ながら、ともに去年からどうチームを成長させているかに注力しているかは共通だった。
「去年からどんどん良くなっているがまだ目指すところの40パーセント。今日は簡単な試合にならないと思っていたが、コーチからすれば若い選手が勝ちきってくれて、これほどうれしいものはない、ただ、横浜もこのままでは引き下がらないはず。簡単に終わるとは思っていないが、こちらも全力を出していいスタートを切りたい」
デニスHCは表情を崩さず、翌日の第2戦を見据えた。対する古田HCは、この試合の反省を踏まえつつ、まだチーム作りが途中であると語った。
「後半になるとシュート率が下がるという昨年と同じ展開で敗れてしまった。今シーズンの方針として、タイムシェアをしながらフレッシュな状態の選手をコートに送りこんでいる。今はいろいろな組み合わせを見ながら起用しているが、それがかみ合わないのは自分の責任。時はかかるかもしれいが、このやり方で今シーズンはやりきりたい」
昨シーズンから成長を見せた滋賀、昨シーズンの反省点を克服できなかった横浜と、これが開幕戦の勝敗を分けたと言えるだろう。果たして第2戦はどのような戦い方を見せるか。ティップオフは14時5分の予定だ。
文=入江美紀雄