10月7日、ホームでの開幕戦を迎えた千葉ジェッツが京都ハンナリーズと対戦。互いに前節、千葉が西宮ストークスを、そして京都が三遠ネオフェニックスを連勝で下してきただけに、3連勝を懸けた激しい戦いが予想された。プロジェクションマッピングと炎を使ったティップオフ前の演出に、詰めかけた満員のファンのボルテージがピークに達し、そして試合は始まっていった。
ティップオフから際立ったのが千葉のディフェンスだった。「ボールマンへのプレッシャーが強く、思いどおりにオフェンスを組み立てることができなかった」と、京都の浜口炎ヘッドコーチが振り返ったが、第1クォーターを終え、京都は何とか得点を2ケタに乗せるのがやっとの状況。
ただ、千葉としても前半は得点のペースが上がらず、思いどおりの展開とは言えなかった。しかし、「自分たちのリズムが出てくる時間帯までディフェンスでしっかり我慢できたことが勝因だったのでは。選手も僕もすっきりした勝ち方ではなかったけど、自分たちのテンポでプレーできる時間帯まで粘れたことは成長した証ではないかと思う」と、大野篤史HCは分析。
さらに、殊勲者に控えの2人の名前を挙げた。
「今日の試合で言えば、まずアキ(チェンバース)が攻防にわたり活躍してくれた。もう1人が伊藤(俊亮)。4分という出場時間だが、その間にしっかりと(ギャビン)エドワーズを休ませることができた。昨シーズンは自分も1年目ということもあり、なかなかうまく選手たちのタイムシェアができなかった。今シーズンは前半から選手をベンチメンバーもコートに送りだすようにして、今日のパフォーマンスをチェックするように心がけている」
後半になると、大野HCが言うように千葉本来のテンポが戻ってきた。それを後押ししたのはこの試合18得点を挙げた富樫勇樹。富樫のドライブやピック&ロールからのシュートが決まるようになると、千葉はおのずと勢いに乗る。
「富樫には攻めながらパスをしなさいと指示している。ポイントガードとしてパスのターゲットを探しながらプレーをするのではなく、まず自分が攻めることを優先させ、それからパスをさばけばいいと。自分で行ける時は行っていいとも言っているが、司令塔として他の選手にもボールタッチをさせることにも注意を払うようにとも言っている。今はそのバランスがうまく取れているのではないだろうか」(大野HC)
最終スコアは76-63。後半のスコアは42-38と、前半に比べれば点数のペースを上げることはできた。試合をとおしてもターンオーバーからの得点が京都の9に対して千葉は29と、文字どおりディフェンスから勝利をもぎ取った試合だったと言える。
「細かいディフェンスのミスもあり、ノーマークにしてしまって3ポイントシュートを決められる場面もあった。修正しなければいけない点もある」と反省を口にする大野HC。長いシーズンは始まったばかりだが、スタートダッシュでいかに貯金を殖やすことができるかも、チームマネージメントでは欠かせないはず。攻防においてバランスが取れている千葉は、チームのベースが底あげされ、負けない強さも身につけているようだ。
文=入江美紀雄