2017.12.22

川崎ブレイブサンダースのスコアリングマシンが語る苦戦の要因とクリスマスの思い出

1試合平均25.6得点を挙げている川崎の大黒柱、ニック・ファジーカス
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 言わずと知れた川崎ブレイブサンダースの大黒柱、ニック・ファジーカス。Bリーグ元年である昨季、チームはチャンピオンシップファイナルで栃木ブレックスに敗れて準優勝に甘んじたものの、個人としては得点王、ベスト5、年間MVPに輝き、日本バスケットボール界の歴史にその名を刻みこんだ。今季も第13節終了時点で、1試合平均25.6得点(ランキング2位)10.4リバウンド(ランキング3位)と大車輪の活躍を見せる。

 12月20日、今季2回目の顔合わせとなったアルバルク東京戦では、32分間の出場で36得点9リバウンドを挙げ、宿年のライバルを77-67で破る立役者となった。ファジーカスは2ポイントシュートを65.2パーセントの高確率で決め、相変わらずのスコアリングマシンぶりを発揮。しかし、チームは14勝10敗(勝率.583)で東地区4位と苦戦を強いられている。

 試合後の取材に応じたファジーカスは「本当にチームとしていいパフォーマンスを出せたと思う」と満足そうに笑みを浮かべると、「我々がBリーグのトップチームの1つであることを証明できた」と渾身の勝利に胸を張った。

 2016-17シーズンのB1リーグで49勝11敗(勝率.817)と最高勝率を挙げるなど、圧倒的な強さを見せた川崎。しかし、今季はA東京、千葉ジェッツなど強豪ひしめく東地区に配置換えになった以外にも、ファジーカスとともにインサイドを支えたライアン・スパングラーが退団、ジュフ磨々道が引退と、重要なピースの離脱が、チームの構成に大きな影を落とす。川崎の強みであった、走力のあるインサイドプレーヤーと帰化選手が抜けたことにより、今季のファジーカスには、得点という彼の本業以外のマルチタスクが求められている。

[写真]=B.LEAGUE

 インサイドのメンバー構成が変わったことにより、負担が大きいのではないかと問われたファジーカスは「間違いないですね」と苦笑を浮かべ、「昨季に比べると(チームは)やはり厳しい状態。それはチーム成績を見ればわかる」と口にする。続けて「昨季はベストパフォーマンスでなくても勝つことができた。今季は本当にいい試合をしないと勝てない」と厳しい表情を見せた。その要因について、「特にジュフ磨々道がいないのが大きい。彼の存在は大きかった」と、チームを支えたベテラン帰化選手の不在を挙げた。しかし、そこはチームの大黒柱。「彼の不在にはようやく慣れてきたが、これから徐々に(得点以外の部分も)上達していかないといけない」とさらなる成長を誓った。

 強敵を退けたこの試合、『サンダースクリスマス』と銘打ってのゲームであったが、チームのエースは一足早く、川崎ファンに“勝利”という素敵なプレゼントを届けた。210センチの大きなサンタクロースは、クリスマスの思い出についての問いかけに対し、「小さい時には、毎年クリスマスになるとワクワクしていて、大きなクリスマスツリーの下にたくさんのプレゼントが置いてあってね……。クリスマスの日になるとツリーの下に行ってプレゼントを空けていたよ。それが一番の思い出だね」と目を細めた。

文=村上成

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