3月11日、B1リーグ第22節第2戦が行われ、アルバルク東京はホーム、アリーナ立川立飛にサンロッカーズ渋谷を迎え撃った。新潟アルビレックスBBを相手に今季初の連敗を喫し、激戦の東地区で守り続けた首位の座を、2位の千葉ジェッツに譲り渡すか否かの重要なポイントとなった今節だが、A東京は同地区のライバル相手に連勝を果たしてその座を守った。
ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは試合後「ケガ人が多く、厳しい戦いだったが、選手がよくがんばった。SR渋谷も我々も連敗中と、ともに厳しい状況であったが、我々にとって、この連勝は本当に大きい」と胸をなで下ろした。
日本代表に選出されている田中大貴、竹内譲次の疲労蓄積、ゴールデンルーキー馬場雄大のケガ、貴重なロールプレーヤーであるザック・バランスキーの欠場などマイナス要素が噴出する中、この難局を乗りきるべくチームをけん引したのは33歳の菊地祥平だ。10日の試合では今季最多19得点を挙げて連敗ストップに一役買ったベテランは、続く11日の試合でもエースの田中に次ぐ29分間の出場で10得点を記録し、持ち味のハードなディフェンスに加えてオフェンスでもチームに貢献した。
試合後の取材に応じた菊地は「連勝しないと首位じゃなくなってしまうので、連勝しようという話をしていた。勝てて良かったです」と安どの表情を浮かべた。また、同じ東地区に所属するSR渋谷との“東京ダービー”に対し、「どちらかと言うと、ファンが投票して選んでくれた3rdユニフォームを着ていたので、負けられないという想いの方が強かったかもしれない」と苦笑し、ダービーで着用した特別な戦闘服への想いを口にした。
もっとも、攻撃力のある選手がそろうA東京において、守備のスペシャリストとしてのポジションが定着している菊地。しかしこの連戦では、攻撃の主役としての一面を見せ、縁の下の力持ちではありつつも、主役になりえる攻撃力を兼ね備えていることを証明した。日頃はディフェンスや相手のマークマンについて問われることが多いが、今節の活躍を受けて、「攻撃の主役を担えるという気持ちがあるのでは」との質問が飛んだ。「あくまで、相手にディフェンスの的を絞らせないためのオプションの一つ」と語り、「僕が主役になる必要はない」と、チームのタレント性に胸を張った。
また、東日本大震災から7年が経過したこの日。菊地の出身地、山形県は比較的被害が少なかったようだが、「僕の中ではかなり意識した」と強い口調で述べ、チーム唯一の東北出身選手として、強い気持ちで試合に臨んだと明かした。「同じ東北の一員として、特別な意識を持ってプレーした」
未だ復興のさなかではあるが、菊地は「東北出身という大きなくくりではあるが、東北出身の選手は、がんばり、励みになるようなプレーをすることぐらいしかできない。そこは今でも、とても意識してやっているつもり」と力強く締めくくり、東北出身のプロアスリートとしてできることを精一杯取り組む姿勢を見せた。
文=村上成