制空権を奪って勝利の立役者に、デービスが見せた成長と優勝への覚悟

ゴール下で奮闘した川崎ブレイブサンダースのジョシュ・デービス [写真]=B.LEAGUE

「今日の敗因は22本のリバウンドの差。デービスを抑えられなかった」

 試合後、滋賀レイクスターズのショーン・デニスヘッドコーチはこう漏らして敗戦を受け止めた。

 3月16日、川崎市とどろきアリーナで行われた川崎ブレイブサンダースvs滋賀のB1リーグ第23節第1戦。川崎を23点差の勝利へ導いたのはジョシュ・デービスだった。デニスHCが「(ファイ)サンバでは抑えられないと思って、(ベンキー)ジョイスに代えた」と、従来のスターティングファイブを変更してまで警戒したが、立ちあがりからその存在感は際立っていた。

 試合開始38秒、ポストプレーからの力強いドライブでファウルをもらい、フリースローで先制点をマーク。次の攻撃ではゴール下でニック・ファジーカスのシュートミスをもぎ取りセカンドチャンスをものすると、同4分12秒にもオフェンスリバウンドを拾い得点につなげた。さらに、ディフェンスでも見せ場を作り、直後にマークマンのジョイスからオフェンスファウルを奪う。この好プレーで相手を2つ目のファウルへ誘いこみ、早くもベンチへ追いやると、残り4分44秒にはバスケットカウントを決めるなど攻守に躍動。川崎に流れを呼びこんだデービスは最初の10分間だけで計8得点5リバウンドを挙げ、そのうち4本のオフェンスリバウンドをマークする活躍を見せた。

 第1クォーターで7点リードを作った川崎はその後も制空権を支配し、相手の30本に対し52本とリバウンドで圧倒。セカンドチャンスから計21得点を積みあげ、83-60で滋賀を退けた。デービスはオンザコート2の第1クォーター、第4クォーターのみの出場となったが、最後の10分間も8得点6リバウンドを稼いで計16得点11リバウンド。両チームトップとなる7つのオフェンスリバウンドを記録し、“ダブルダブル”を達成した。

試合をとおして16得点11リバウンドをマーク [写真]=B.LEAGUE

 試合後の取材では「まあまあ良かった」と、自身の出来について控えめにコメントしたデービス。しかし、チームに加入したばかりのシーズン当初と比べると、周りを意識しすぎた消極的なプレーが減り、積極的な攻めやチームメートにも自ら声をかけるなど、成長した姿が垣間見えた。「今の方がアグレッシブにプレーできていて、チームメートとも自然といいコミュニケーションが取れている。それがこういう結果につながっていると思うし、もっと(コミュニケーションが)うまくいくとチームもさらに強くなれる」と胸を張った。

 また、北卓也HCも「後半戦に入ってからリバウンドにすごく絡んでくれて、今日もそこからシュート決めてくれているので徐々にフィットしてきている」と手応えを口にし、「クイックネスもあるので、彼の持ち味をしっかり出していけばもっともっといいチームになると思っています」とさらなる期待を寄せている。

 しかし、デービス自身はあくまでも「ディフェンスをがんばること」が自分の役割だと強調。「もちろんリバウンドも大事だが、チームのために小さなことをやることが大事だと思っている。とにかくチームのためならなんでもやる」と語った。

 東地区3位の川崎は、7連勝と勢いを維持し今季30勝目をマーク。17日に同節の第1戦を迎える同地区1位のアルバルク東京、同2位の千葉ジェッツにプレッシャーをかけた。レギュラーシーズンも残り10節となったBリーグ2年目。チャンピオンシップ出場権を手にし、昨季惜しくも涙をのんだ決勝の舞台でリベンジを果たせるかどうか。チームに徹する覚悟を決めたパワーフォワードが、キーマンの1人になることは間違いないだろう。

文=小沼克年

モバイルバージョンを終了