前日の第1戦ではリバウンドで相手を圧倒。83-60と大差で滋賀レイクスターズを下した。しかし第2戦では、滋賀がインサイドで強さを発揮。第1クォーターではリバウンド数で9-16と劣り、川崎ブレイブサンダースは苦しいスタートとなった。
内がダメなら外だ。辻直人がそれを体現した。10-15で迎えた残り2分14秒、速攻の流れからボールを受けると、滋賀の小林遥太のファウルを誘い、この日2本目となる3ポイントシュートでバスケットカウントを獲得。「自分の得意なプレー」と豪語する“4点プレー”で点差を縮め、川崎市とどろきアリーナでの今季最多となる4371名の観衆を沸かせた。
さらにビハインドを背負ってスタートした後半、辻が再び魅せる。長谷川技の3ポイントをお膳立てして40-37と逆転に成功すると、約40秒後の開始3分16秒、藤井祐眞のパスを受け、今度は自ら3ポイントを沈め相手を突き放した。
とにかくフリーになって打つ、と安易に考えているわけではない。「その時の展開や流れを考えるようにしている」。自分が打つべきか、味方を活かすべきかを判断する。これがシューターとしての自身の強みでもあると分析する。「スポットシュートだけではなく、ピック&ロールで崩せるしアシストもできる」。この日は3アシストにとどまったものの、3月18日時点で1試合平均4.4アシストをマーク。これはチーム1位、リーグ全体でも10位の記録だ。パスもあるとなれば、マークする側にも迷いが生じるだろう。辻はその一瞬を突く。
第1戦では4本の3ポイントを含む14得点、第2戦では10得点と、連日の2ケタ得点でチームの8連勝に貢献。それでも満足はしていない。「今日はあと2、3本決められたし、昨日もあと2本は決められた」。確かに、今シーズンは20点超えのゲームが6試合あり、比べてしまえば物足りなくも思うだろう。
とはいえ、手応えを感じていないわけではない。シュート確率は「少し安定してきた」と実感しており、白星を重ねるチームも「これから厳しいゲームが続くけど、いい流れで迎えられる」。無得点に終わった2月16日のレバンガ北海道戦から1カ月、上昇の気配漂う辻が地区首位争いでもキーマンとなりそうだ。
文=安田勇斗