3月23日から25日にかけて、サイデン化学アリーナにて「B.LEAGUE U15 CHALLENGE CUP 2018(以下、チャレンジカップ)」が開催され、U15横浜ビー・コルセアーズが大会2連覇を達成。準優勝にFイーグルス名古屋U15、3位に滋賀レイクスターズU15が輝いた。
■大エースに頼らず戦った横浜、1点差に泣いたFE名古屋
チャレンジカップは8月に開催された「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP(以下、チャンピオンシップ)」の上位6チームに(広島ドラゴンフライズU15は不参加)、韓国プロリーグKBLの下部組織チャンピオン、U15ソウルサムソンサンダースを加えた6チームの総当たり戦で争われた。
頂上決戦となった2日目のU15横浜vsFE名古屋U15は65-64の大激戦となった。U15横浜は大会MVPに輝いた田中力の自在な得点に加え、大野海翔、ケイン・ロバーツの3ポイントが冴えた。指揮を執った関拓郎アシスタントコーチは、「(田中)力のような日本代表クラスの選手がいるとどうしても頼りがちになってしまいますが、この試合は全員がそれぞれの役割を果たしてチームで勝てました」と選手たちを称える。
一方のFE名古屋U15は、アウトサイドシュートがうまく決まらない中で192センチの河合海輝、同じく192センチの山内シャリフ和哉ら長身選手のインサイドプレーで食らいついた。しかし、最後は加藤大成のレイアップが外れて勝負あり。「8月に続いて優勝を狙っていこうと言っていたので悔しい気持ちが強いです」と青木幹典ヘッドコーチは話した。
■チャレンジカップ、そしてユースがバスケ界に与える影響
これまで中学生3年生は早ければ5月頃、一番長くても8月末で引退を迎え、高校進学まで半年以上も実戦から遠ざからざるを得なかった。しかし、この大会が3月末に開催されることによって、引退後も真剣勝負を意識しながらバスケットボールに打ちこめる。大会を主催したBリーグ強化育成部の塚本鋼平氏は、「全中(全国中学校バスケットボール大会)から半年過ぎた彼らは、すごくいい試合をしてくれました。子どもたちの可能性は夏ではわからない。ここからなんだと気づかされました」と生き生きとした表情で話した。
FE名古屋U15の青木HCは、横浜戦で決勝点を落とした加藤がその後1時間ほど泣きじゃくったと教えてくれた。それだけの思いを込め、中学生活の最後の最後までバスケットボールができる環境は、未来ある選手たちの今後に大きな影響を与えるだろう。
また、今大会は優勝チームからMVP、各チームからMIPが選出され、滋賀U15の佐野爽也人が特別賞を受賞した。塚本氏いわく、コートだけでなくベンチでもチームを全力で盛りあげていたことがその理由だったという。「今大会は死ぬ気で、いつもの5倍くらい盛りあげようと思っていた」と話す佐野は、好きなBリーガーとしてトップチームの長谷川智伸の名前を挙げ、「僕がベンチで声を出すようになったのは長谷川選手がきっかけです」と続けた。
トップチームの背中を追いかけながらプレーできるのは、ユースチームならではの大きな強み。「Bリーグの選手たちは、プレー以外の部分でも子どもたちの憧れの存在になっている。すべてのことにハードワークする日本人選手は、子どもたちに刺激されて作られていくのかもしれません」。塚本氏は、ユースがトップに与える好影響にも期待している。
文・写真=青木美帆