毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第24節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ
【5】#2富樫勇樹選手の強気なブザービーター(千葉ジェッツvs三遠ネオフェニックス GAME1)
第3クォーターの終了間際、#2富樫選手がハーフコートライン辺りでボールスクリーンを使うと、出てきた外国籍選手の目の前で早めに放った3ポイントショットがブザーの後にゴールに吸いこまれた。ここでは、#2富樫選手への高い位置でのスクリーンプレーがいかに有効かが見える。高い位置でのズレによって、スクリーナーのディフェンスは判断力を試される。助けようと近くに寄れば、スピードで勝る#2富樫選手に置いていかれるか、パスで散らされゴール下が手薄になる。下がっていれば、今回のように距離感が必要な1on1となる。#2富樫選手はスクリーナーのディフェンスとの距離を見て、遠いところから飛びながら早めにボールを離すことによってブロックショットを避けている。#2富樫選手はクイックネスとスピードの両方を兼ね備え、臆することなく強気に攻める姿勢が結果に結びついている。
【4】#9ベンドラメ礼生選手の起用な片手のみレイアップブザービーター(新潟アルビレックスBBvsサンロッカーズ渋谷 GAME2)
試合はSR渋谷が序盤から新潟を圧倒する。第2クォーターの終了間際、#24広瀬健太選手がディフェンスリバウンドを取って、そのままスピードに乗ったドリブルでハーフコートまで運んで#9ベンドラメ選手へパス。ボールを片手で受け、ワンステップで浮かすようにシュートまで持ちこみブザービートとなった。ここでは#24広瀬選手の横にいたディフェンスがレイアップへのパスを演出してしまったところと、時間がない中でも焦って打つのではなく、落ち着いて、むしろ楽しんでプレーできている#9ベンドラメ選手が、この日のSR渋谷の雰囲気を物語っている。同時に、SR渋谷は連勝していた時のアップテンポなバスケットをもっと出せると感じさせた場面であった。
【3】#53アレックス・カーク選手がディフェンス2人を割ってたたきつけたボースハンドダンク(アルバルク東京vsレバンガ北海道 GAME2)
ピック&ロールを知り尽くした両チームによる大接戦。第4クォーター残り3分35秒、#24田中大貴選手がトップでボールをもらうと、#53カーク選手がスクリーン。すると#24田中選手がステップとドリブルでディフェンスを後追いにさせ、#53カーク選手が横に開いた。スクリーナーのディフェンスがドライブを警戒した瞬間にバウンドパスを出し、ボールを受けた#53カーク選手が1回ドリブルし、ディフェンス2人が止めに入ったがしっかりと両手でボールを守り力強くダンクシュートをたたきこんだ。ここでは#24田中選手のセットアップに注目したい。ハンドオフ(手渡しパス)でドリブルのない状態でのボールスクリーンになるため、ピボットでディフェンスの位置をコントロールすることができる。また、シュートもうまいのでディフェンスは後追いになると非常に守りにくい。1ドリブルからのパスだが、#15マーク・トラソリーニ選手との駆け引きで実質2人を手玉に取った動きとなる。得点を生む力もスーパースターの必須能力である。
【2】北海道の緻密なセットプレーから、#15マーク・トラソリーニ選手がこん身のダンクシュート(アルバルク東京vsレバンガ北海道 GAME1)
第4クォーター残り1分8秒、北海道は#8多嶋朝飛選手に2人のスクリーンでズレを使ってコートを横切り、スクリーナーのディフェンスを引っ張る。戻ろうとしたタイミングで#8多嶋選手が#15トラソリーニ選手にパスを戻し、1ドリブルでダンクシュートまで持っていった。ここでは2つ。ディフェンスは、サイズがあり、外のシュートもある#12ディジョン・トンプソン選手を離したくなかったが、逆サイドから#9折茂武彦選手がスクリーンをかけていることで#15トラソリーニ選手へのヘルプに行きにくかった。2つ目は、#8多嶋選手が無理やり突っこまず横に#53カーク選手を引っ張りパスを出したのだが、#15トラソリーニ選手が前に進みながらもらったことで#53カーク選手を置き去りにしたところ。チーム全員が呼吸を合わせて攻めないとうまくいかなく、ゲームの一番大事な場面でこの連携プレーができる北海道のチーム力を見た。
【1】佐々宜央ヘッドコーチとの信頼関係から生まれた、#12ハッサン・マーティン選手による速攻からの横からたたきつけるワンハンドダンク(琉球ゴールデンキングスvs富山グラウジーズ GAME2)
第3クォーター残り2分15秒、#8二ノ宮康平選手がゴール下で相手ビッグマンからスティールすると、そのままドリブルで突破し、後ろから来る#12マーティン選手にバックビハインドパス。走りこんで来た#12マーティン選手がランニングステップで高く舞いあがり、横から力強くたたきつけた。ここではやはりHCと#8二ノ宮選手のコミュニケーション力の高さが出た。1つ前、富山の#13クリント・チャップマン選手に簡単にライン側をアタックされ得点を許してしまう。直後にゲームが止まった際、佐々HCは#8二ノ宮選手に何やら指示を出している。富山は簡単に得点できたため同じプレーで#13チャップマン選手にボールを託したが、今度は#8二ノ宮選手がベースラインターンに合わせてスティールを成功。ボールをたたきに行くのではなく両手を添えるように出したため、ファウルのリスクも少なく、キレイにスティールできている。タイムアウトを消化せずにディフェンスを変えられるのは強いチームの要素の1つである。豪快なダンクの連続に、そろそろアリーナのリングは壊れてしまうのではないだろうか。