毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第27節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ
【5】#7篠山竜青選手が決めた、時間に追われながらの冷静なフェイドアウェイショット(琉球ゴールデンキングスvs川崎ブレイブサンダース GAME2)
両チームの激しいディフェンスにより非常にロースコアの展開。第4クォーター残り33秒をしっかりと使って、ボールスクリーンのズレを狙ったセットプレー。琉球がペイントエリアに入って来た#22ニック・ファジーカス選手を警戒して2人で守っていたのを見て、ボールが逆サイドにいる#7篠山選手に飛んだ。ディフェンスはなんとか間に合ったが、カウンターの動きで抜き去り、ゴールから遠ざかるように右に飛びながらフェイドアウェイショットを見事に沈めた。ゲームの終盤、しかもショットクロックも少ない中、#7篠山選手がボールをもらった時は残り3秒。この3秒に細かいショットフェイクを見せ、左にジャブステップからのドリブルを経てジャンプショットを入れている。右にドライブできたが、ディフェンスがついて来たので流れながら打つシュートを選択した。相手の距離が近かったので細かく早いフェイクが有効的で、脚力のある#7篠山選手は使いこなすと早い上に安定した動きができる。
【4】#12岡田優介選手による逆転バスケットカウント3ポイント(滋賀レイクスターズvs京都ハンナリーズ GAME1)
第4クォーター残り1分48秒、慎重に得点を狙う場面で#34ジョシュア・スミス選手にボールが入ると、ディフェンスは警戒してペイントを狭く守る。ボールを入れた#91片岡大晴選手がスペースを空けるためにトップへ移動すると、その外側を#12岡田選手がボールサイドに走って来た。パスをもらった流れのまま3ポイントを放つと、それを止めに来たディフェンスが押してしまいバスケットカウントとなった。リーグに多くの3ポイントシューターはいるが、このように動きながらシュートを打てる選手は少ない。クイックで打ちながらもしっかりとフォロースルーをし、流れながらもしっかりと手がゴールへと向いているところに、普段からゲームを意識したシュート練習をしている姿が目に浮かぶ。インサイドで注意を引く#34スミス選手の存在があってこそではあるが、外には#12岡田選手がいるのでディフェンスは的を絞れない。京都は第4クォーターの追いあげで勝利をものにすることが多いチームの一つと言える。この日も駆けつけた大勢のブースターとともに、このシュートでゲームをひっくり返した。
【3】#2富樫勇樹選手のスピードドリブルからの3ポイントブザービーター(千葉ジェッツvsシーホース三河 GAME2)
第4クォーター、両チーム果敢にゴールにアタックを続けるも、ジリジリと点差を広げられる千葉。残り2分45秒でショットクロックは4秒。#2富樫選手へスクリーンプレーを作り、ディフェンスがスイッチをした。すると、#2富樫選手はドリブルでトップへ移動し、飛びながら体を回転させ、3ポイントショットを放ち見事に決めた。ここではディフェンスのスイッチを作りだし、その場所では#5アイザック・バッツ選手との身長差で打てないと判断してカットした#21ギャビン・エドワーズ選手と、スピードのミスマッチを活かしディフェンスを振りきった#2富樫選手が、4秒の限られた時間で判断したことが素晴らしい。このようなタフショットも含め、復帰した#2富樫選手の3ポイントショット確率が驚異的である。
【2】#6比江島慎選手の相手2人を置き去りにするスピンムーブ(千葉ジェッツvsシーホース三河 GAME2)
第3クォーター残り5分44秒、三河は#14金丸晃輔選手に打たせるセットプレーを作るが、千葉の激しいディナイディフェンスにボールをもらうことができない。ショットクロックが徐々に減っていき、#6比江島選手がボールをもらった時は残り7秒。ドリブルを始めフロントチェンジを2回すると、一気に加速して左のドライブで抜き去った。ヘルプに来た#21エドワード選手が正面に立つと、素早くスピンでかわしてレイアップシュートを決めた。#6比江島選手のボールハンドリングもさることながら、彼の初動の速さと姿勢の低さに安定感を感じる。ドライブ時にはスピードを上げるために体を傾けるが、彼は体を低くしながらも重心がしっかりと真ん中にあり、ステップバックや今回のスピンムーブも思いのままに踏めている。どちらにも動けるので、ディフェンスは反応することで精一杯である。
【1】#12ハッサン・マーティン選手の絵になるダンクシュート(琉球ゴールデンキングスvs川崎ブレイブサンダース GAME1)
第3クォーター残り5分、コートのサイドで行われた、琉球の計算されたキレイなピック&ロールプレー。#14岸本隆一選手がボールをもらうと、#12マーティン選手のスクリーンを使って内側にドライブしてディフェンスを後追いにさせた。すると、ヘルプに来た#22ファジーカス選手を引きつけ、スクリーン後に飛びこんだ#12マーティン選手へバウンドパス。ヘルプに来たディフェンスがゴール下で止めに来たが、2ステップで踏みきり、思いっきり上からダンクシュートでたたきつけた。セットプレーの遂行力も素晴らしいが、#14岸本選手の能力があってこそ成り立っている部分がある。シュートレンジの広い#14岸本選手にスクリーンが来ると、スクリーンの下を通すことができないため、ボールマンのディフェンスは後追いになる。得点力はリーグ随一だが、機動力に欠ける#22ファジーカス選手が出た瞬間に素早くパスに切り替えたため、#22ファジーカス選手の反応が遅れ、#12マーティン選手がダンクシュートに持ちこんだ。#12マーティン選手の跳躍力は規格外で、ダンクしながらも上に上がり続けているように見えた。