毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第29節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ
【5】#8レオ・ライオンズ選手のゴールを揺らすプットバックダンク(サンロッカーズ渋谷vs千葉ジェッツ GAME1)
SR渋谷のゾーンディフェンスが効果を出し始め、第2クォーターをリードして終わろうというところ。千葉は#2富樫勇樹選手がトップから3ポイントショットを打つと、3ポイントラインの外側にいた#8ライオンズ選手がリバウンドを取りに入り、そのまま高い位置からリバウンドダンクを決めて流れを戻した。ここでは2つ。1つは#6ロバート・サクレ選手が#2富樫選手のシュートを見た瞬間、ゴール下にいる#3マイケル・パーカー選手にリバウンドを取らせないように捕まえに行ったことで#8ライオンズ選手が誰もボックスアウトできなかった訳だが、ゾーンを敷く時は飛びこむリバウンドに対してボックスアウトしにくい。もう1つは#2富樫選手のシュートが3ポイントラインよりも遠い位置からだったが、彼の思いきりのいいシュートは、チームメートもタイミングがわかり、リバウンドに入ることができるため、まさにタイミングのいいリバウンドとなった。
【4】テンポのいいパスワークから生まれた#9折茂武彦選手のビッグショット(レバンガ北海道vs大阪エヴェッサ GAME1)
第4クォーター残り50秒で、大阪が3点をリード。タイムアウト明け、大阪の選手全員が#9折茂選手に打たせてはダメだという共通認識でコートに立ち、#9折茂選手をフェイスガード(顔を合わせるようにし、持たせないように密着)。北海道はなかなか攻め手がない中でもボールがよく回り、#8多嶋朝飛選手がシュートフェイクでディフェンスを振りきり、ドライブをしながらペイント内にいる#5ダニエル・ミラー選手にパス。ディフェンスに少しのズレができると、#5ミラー選手が壁に跳ね返ったようなタイミングで#9折茂選手へパスを出した。しっかりとミートして、ブロックされないように少し早めに打ったシュートがキレイにネットを揺らした。ここで#5ミラー選手がゆっくりと構えたり、シュートを狙ったりしていれば、ディフェンスが反応する時間ができ、簡単なシュートは打てなかったであろう。早い展開で相手の遅れを取る、北海道の落ち着いたパスワークと、決めたい選手で決めきった見事なオフェンスに歓声が湧いた。#9折茂選手自身もこの手応えのあるビッグショットにかみ締めるようなガッツポーズを見せた。
【3】大黒柱、#8エグゼビア・ギブソン選手の流れながら決めきるランニングショット(レバンガ北海道vs大阪エヴェッサ GAME1)
第4クォーター残り34秒、大阪はトップで北海道のオフェンスに時間を与えないようにじっくりと消化。ショットクロックが残り8秒になると、#8ギブソン選手がハイポストでボールをもらい、中から外に突くドリブルでディフェンスを揺さぶって中に切りこんでいった。ディフェンスにぶつかり体が外側に流れたが、しっかりとセットシュートの構えでバックボードを優しく使ってシュートを沈め、ぶつかった際のファウルコールでバスケットカウントとなった。ゲームの局面でいろいろなセットオフェンスもあるが、シンプルに1on1を託せる#8ギブソン選手がいることは大変心強い。フリースローもキッチリ決め、点差を3点に広げた。
【2】#32ウェンデル・ホワイト選手のボールスクリーンからの高さのあるワンハンドダンク(アルバルク東京vs三遠ネオフェニックス GAME1)
第4クォーター残り7分50秒、#32ホワイト選手がリバウンドを取ってそのままボールを運び、#44スコット・モリソン選手とトップでボールスクリーンを使う場面。左の方にボールスクリーンを使おうとスキップをし、加速の瞬間にクロスオーバードリブルでスクリーンの方向と逆に切り返し、右にドライブで入って行った。スクリーンを使うだろうと反応してしまった#53アレックス・カーク選手が必死に戻ったが、#32ホワイト選手が加速してそのままダンクシュート。「流れの中」で仕掛けることで、こういったシンプルなアタックも、ディフェンスが油断しているわけではないが止めにくい。ベテランと言われながら、このクイックネスと高さがある#32ホワイト選手ほど守りにくい選手はいない。たたきつけるリングの音が会場に響き渡り、観客はアウェイチームのプレーながら歓声を上げた。
【1】#14金丸晃輔選手と#6比江島慎選手の息の合ったタップシュート(シーホース三河vs琉球ゴールデンキングス GAME1)
第1クォーター残り4分28秒、シュートがリングに当たらなかったため、ショットクロックは1秒でサイドから。三河は#14金丸選手にスクリーンを掛けようと動くが、琉球の激しいディフェンスにうまくボールが入らない。琉球の#51古川孝敏選手がスクリーンを使わせないよう、上から蓋をするようにピッタリとくっついていたところで、#6比江島選手が裏に浮かせるようなパスを出し、#14金丸選手がタップシュートのようにキレイに決めきった。タイムアウトなどで決められたプレーではなく、選手同士の息が合っていないと成り立たない連係プレーとなった。#6比江島選手が、#51古川選手がボールを見ていないことに気づき、#14金丸選手の立っている場所ではなく少し遠いところにパスの落下地点を選んだことに注目。#6比江島選手からのパスが飛んでからディフェンスにギリギリまで密着させて、ボールに対して動き、体幹を安定させてもらった冷静さに会場は驚きの声を上げた。その後も激しいディフェンスをかいくぐり、#14金丸選手が4連続得点を挙げて完全に流れを呼びこんだ。