4月29日にシティホールプラザアオーレ長岡で行われた三遠ネオフェニックスとの激闘を制し、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」進出の可能性をつないだ新潟アルビレックスBB。昨季チャンピオンシップを逃した理由の1つが「日本人インサイドプレーヤーの不在」であり、そこに鵜澤潤というピースが加わったことが今のチャンピオンシップ争いの状況につながっていることは間違いない。
その役割はもちろんインサイドで体を張ることだが、もともと外角シュートも得意にしており、今季は2ケタ得点をすでに12度記録。B1リーグ第30節第2戦も2ケタにはあと1点届かなかったものの、チャンスを逃さず確実に得点を奪った。また、普段は出番の少ない第4クォーターでも残り1分9秒という大事な時間帯にコートに立ち、逆転勝利に大きく貢献した。
昨季よりも出場機会が増え、充実したシーズンを送っている鵜澤にとって、残り1つのイスを争っている名古屋ダイヤモンドドルフィンズは古巣にあたる。チームでは五十嵐圭と遥天翼も名古屋DのOBだが、昨季まで在籍していた鵜澤は特に今の状況に対する思いが強い。
「長年お世話になったチームに対して、個人としてがんばることはもちろん、新潟でチームとして上にいくことが恩返しだという気持ちがある。せっかく(新潟に)獲っていただいたので、このチームがチャンピオンシップに行く力になれればと思っています。厳しい状況ですが、チャンスがある限りはしっかり戦っていきたい」
鵜澤が持つ諦めない気持ちは、チーム全体にも満ちていた。第4クォーターのオフィシャルタイムアウトの時点で9点差を追う状況にありながら「選手にもスタッフにも『もう1回波が来る』という雰囲気があった」と、誰一人下を向いていなかったと鵜澤は証言。決戦に臨む試合前の雰囲気についても尋ねてみると「よしいこう、みんなで一生懸命がんばろうといういい雰囲気だった」と明かす。
「新潟はチャンピオンチームでも何でもなく、これからのチーム。失うものはないと言ったらおかしいですが、僕はいつも『チャレンジしてなんぼ』と言っています。崖っぷちの状況は変わらないですが、試合前もピリピリすることなく、いい雰囲気だと思います」
ゲームMIPに選ばれたコート上でのインタビューで残る3試合への意気込みを問われた際には、ブースターに向かって「もう全部勝つしかないですよね!」と力強く宣言。そのポジティブな姿勢と明るい性格でチームのムードメーカーにもなっている鵜澤は、大逆転でのチャンピオンシップ進出を目指す新潟には決して欠かすことのできない存在だ。
文=吉川哲彦