アルバルク東京は106-68という圧巻のゲーム内容で、節目の一戦となるレギュラーシーズン最終戦をものにした。第2クォーターでの逆転を機に怒とうのオフェンスを展開したA東京は、6選手が2ケタ得点を挙げた。その中で最多スコアを記録したのは、17分54秒の出場で20ポイントを積みあげたザック・バランスキーだった。
「ディフェンスがいない状態だったので、シューティングぐらいの感覚でリラックスして打てた」と語るザックは9本の3ポイントを放って6度ネットを揺らした。対戦相手の京都ハンナリーズはゾーン気味の布陣を敷き、また状況に応じて複数人でボールホルダーに寄せていた。そのマークをかいくぐることでフリーの選手が生まれ、チーム全体でも23本中13本成功と面白いように3ポイントが決まった。
ザックは昨夏、インサイドでの攻防が求められるパワーフォワード(4番)で再びプレーすることを想定し、「意識して変えたのは初めて」という“肉体改造”に取り組み体重を7、8キロ増やした。開幕前にスモールフォワード(3番)での起用を伝えられたが、今も100キロ近くをキープ。「体重が増えても3番はできているし、4番でもパワーで負けないので総合的に見て取り組んで良かった」
今シーズン、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチの下では「新しい世界」を経験することができた。レギュラーシーズンを終えてこう振り返る。「ポジションが変わって、今までやったことがないプレーなど、いろいろなチャレンジができて楽しいシーズンだった」
ちなみに、3ポイントシュート6本成功は、2017年11月18日のレバンガ北海道戦(22得点)に並ぶシーズン最多。この一番の武器である3ポイントはどのようにして磨いているのか。「常にゲームライクに練習しているし、いろいろとステップを変えて打っている。どんな状況でボールが来ても打てる準備をしている」。トレーニングメニューはほとんど自己流で、オフシーズンにトレーナーに見てもらうことはあるが、シーズン中は「自分で何が足りないか、何をやればいいかを考えて練習している」という。
京都戦は完勝とも言える結果だったが、「点差が開いたところでミスが増えた」ところを課題に挙げた。京都とは1週間後に「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」のクォーターファイナルで再度顔を合わせる。ザックはタイトル獲得へ向け「安定感」が必要と話す。「負けた試合は自分たちのせいで負けている。40分間徹底して自分たちがやりたいことをやれるように。それが優勝のカギになる」
安定した力を発揮できるよう、自身も平常心で臨む。「プレーオフ(チャンピオンシップ)だからって変に考えることはないし、いつもどおりやれば結果は自然とついてくる。今までどおり自分の役割を全力でやるだけ」。やるべきことをやれば勝てる――。長いシーズンで培った自信を胸に、193センチのシューターがチームの成否を占う大舞台に挑む。
文=安田勇斗