生まれ変わった琉球ゴールデンキングス、最強の守備力を武器に黄金の頂点へ/チャンピオンシップ特集

[写真]=B.LEAGUE

5月12日から、レギュラーシーズンを勝ち抜いた8クラブによるBリーグ王座を懸けた激闘、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」が幕を開ける。そこでバスケットボールキングでは、よりチャンピオンシップを楽しんでもらえるよう、さまざまな企画を用意。ここでは同メディアで活動してくれているライター陣とともに、今シーズンにおける各クラブの振り返り、チャンピオンシップに向けての展望を紹介する。

頂点をつかむための課題は「攻守両面でのインテンシティ(プレーの激しさ)の継続性」と「モメンタム(勢い)がない時間帯での我慢」

大補強を敢行し、今シーズン大注目のチームとなった琉球ゴールデンキングス。新しく生まれ変わったチームは戦前の予想どおりの強さを発揮し、B1西地区を制覇したのである。

 最強のディフェンスチーム、彼らにはこの称号を与えて良いであろう。リーグナンバーワンのチーム平均失点(4064点)という数字がそれを証明している。さらには対戦相手のフィールドゴールパーセンテージがリーグで断トツで低い数字にも、ディフェンス力の高さは目に見えて現れている。

 特に誰かがすごいという特筆すべき形ではなく、チームで共通理解を持って、連動性の中から相手のミスや厳しい形でのシュートを狙っている形が素晴らしい。その裏にはコーチ陣の相手チームのスカウティング能力の高さはもちろん、今シーズンから就任した佐々宜央ヘッドコーチの手腕の高さが存在している。ハーフコートでしっかりと守るというよりも、前から激しくプレッシャーを掛けて、相手に対して良いリズムをできるだけ与えないようにしている。激しさゆえにファールも多くもらってしまう部分も多いが、継続性を持って相手に少しずつダメージを与え、最後一気呵成に勝負に出て、勝利を収めたゲームを数多く見ている。「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」進出するチームの中で、一番乗ったら止まらない勢いを感じる。

 その中でもやはりハッサン・マーティン岸本隆一の2人は攻守両面のチームの核として、存在感抜群であり、ここからの戦いでも重要なキープレイヤーとして挙げておきたい。

 今季から加入したマーティンは、レギュラーシーズンでチーム最多の1試合平均15.3得点8.3リバウンド[写真]=B.LEAGUE

 彼らが頂点をつかむための課題、それが「攻守両面でのインテンシティの継続性」と「モメンタムがない時間帯での我慢」の2つであると考えている。攻守両面で流れをつかんだ時間帯の強さはとてつもなく素晴らしいバスケットを展開するが、相手の時間帯で自分たちの強みであるディフェンスが機能せず、フラストレーションが溜めてしまう形で敗戦を喫してしまう場面がレギュラーシーズンでは多く見られた。40分間継続するというのは非常に難しいことではある。その中でも自分たちの強みを継続してコート上で表現し続け、難しい時間帯では我慢をしていかないと勝機は見えてこない。ポストシーズンではさらにこの事が自分たちの未来を決めてしまう大きな要素になり得るであろう。

 先ほど挙げた2人に加え、昨シーズン頂点を経験した古川孝敏須田侑太郎、オールラウンドプレーヤーのアイラ・ブラウン、経験豊富なコンボガードの石崎巧など抜群のタレントがそろっている。

 今こそ、黄金の頂点をつかむために一人ひとりのメンタル面とプレー面の強さが求められているかもしれない。

文=鳴神富一

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