ホーム富山市総合体育館に島根スサノオマジックを迎えた「B1 残留プレーオフ 2017-18」1回戦、富山グラウジーズは初戦を落としながらも第2戦を取り返し、続く第3戦も制してB1残留に前進した。
20点という大差がついた第1戦では、島根がオフェンスの起点である宇都直輝からあえて距離を置いて守る戦術を披露。度々フリーになった宇都がパスやゴール下へのアタックを選ばずにジャンプシュートを打たされる格好となり、いい形のオフェンスを展開できなかったことが富山の敗因の1つとなった。
「自分はドライブにアシスト、ポストプレーと選択肢が多いにもかかわらず、ジャンプシュートにこだわってしまったせいで自分もチームもリズムをつかめなかった」と宇都自身も責任を感じていたというが、第2戦ではその反省を踏まえ、チーム全体がペイントエリアを攻めて相手ディフェンスを崩した。もちろんそのオフェンスの中心にいたのは、司令塔でありチームの大黒柱でもある宇都だ。「自分がやらなきゃいけないというのは自覚していたし、昨日(12日)上手く守られてしまった分、今日は必ずやり返すという気持ちでした。ジャンプシュートは今シーズン練習してきたんですが、アシストしたりファウルをもらったりと他の選択肢で攻めるのが上手くいったので良かったです」
第2戦と第3戦の勝利は、第1戦の敗戦で漂った悲壮感を払拭しただけでなく、「B.LEAGUE CHANPIONSHIP 2017-18」進出も狙える状況から一転して残留プレーオフに回ってしまった逆境をもはね返した感がある。チームの浮沈を左右する存在として、宇都の試合に臨むメンタリティーは少なからずチームに影響を与えるはず。第2戦でチームがカムバックできたのは、宇都が良いメンタリティーを取り戻したことも大きく作用したに違いない。「残留プレーオフがかかった試合で自分の不甲斐なさで負けてしまい、取り返そうと臨んだ昨日の試合も空回りしてしまった。今日は開き直って、とにかくアグレッシブにいこうと思いました。自分は勝ちにこだわりすぎて気負ってしまうところがあるので、リラックスすることを心掛けた。『自分のチームを信じる』というガードとしての原点に戻ったことが、リラックスできた要因かなと思います」
第3戦は「脚もつっていてきつい状態だったが、気持ちで乗りきれた」という宇都。不屈のメンタリティーを身につけた富山の大黒柱が、残り1勝となったB1残留までチームを引っ張り続ける。
文=吉川哲彦