5月19日にウィングアリーナ刈谷で「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」セミファイナルの第1戦が行われ、シーホース三河とアルバルク東京が対戦。2909名のファン、サポーターがともに初優勝を目指し、ファイナル進出を目指す両チームを後押しした。
前半は三河のペースに思われた。A東京のディフェンスに対し、ボールが思いどおりに回って、オフェンスのリズムを作っていく。それに乗じて金丸晃輔の13得点を筆頭に、バランス良く加点して11点ものリードを奪った。対するA東京は7本放った3ポイントシュートが1本も決まらず、なかなか波に乗れない。第3クォーターに入り、得点のペースが互いに下がったものの、三河は11点のリードをキープしたまま第4クォーターに入っていく。
村上直が開始早々ドライブを決めると、点差はこの試合で最大となる13点まで開いた。しかし、ここからA東京の反撃が始まることになる。
「ディフェンスでは1本ずつ相手のオフェンスを止め、オフェンスでは確実に1つずつ入れられた」と、試合後、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが振り返ったが、傍目から見れば、厳しい局面に追いこまれていたのではないかと思われた状況の中で、次第に選手たちは冷静さを取り戻していったという。
リードを維持していた三河だが、決してセーフティーリードを保っていたわけではない。しかも控えのメンバーを出してタイムマネージメントを図ろうとしても、この日はミスも多く、どうしてもスターターがコートに入る時間が長くなっていた。また、A東京が繰りだすピック&ロールもジャブのように三河の選手のスタミナを奪っていったのだろう。
残り7分14秒、橋本竜馬がジャンプシュートを決めて59点に達してから、三河の得点は実に7分間ストップすることになる。ルカHCは、「オフェンスを横から縦へ」と指示を出し、田中大貴を中心にペイントエリアへの突破を見せるようになった。ディフェンスの足が止まった三河はこれに対応できず、実に11連続得点を許し、2ケタあったリードは1点にまで詰め寄られてしまった。
それでも三河は金丸がファウルをもらいフリースローを2本決めて、差を3点に広げる。残り時間は1分を切った。残り48秒、A東京の安藤誓哉が値千金の3ポイントを沈めて、ついにA東京が同点に追いついた。
「安藤はよく決めてくれた。ただ、あのシュートは練習で何千本、何万本と打ってきたもの。アクシデントで入ったものではない」。ルカHCは手放しで安藤を称えた。
三河は残りの攻撃で比江島にボールを託すが、これもA東京の激しいディフェンスに跳ね返され、今シーズンのチャンピオンシップで初となる延長戦へ突入していった。
延長戦に入ると、さらにA東京が勢いづく。田中のドライブからのパスをアレックス・カークがダンク。ジャワッド・ウィリアムズ、さらに田中もドライブで続き、ペースをつかんでいく。それでも諦めない三河は金丸が21点目を決めるも、その後得点を挙げることができずゲームセット。40分間、一度もリードを奪えなかったA東京が最後の最後で追いつき、延長戦に入っても衰えない動きで三河に先勝。ファイナル進出へ王手をかけた。
「選手たちには今日勝ったとはいえ、まだ何も成し遂げてないと言ってある。三河も明日は今日以上に全力で向かってくるに違いない。気持ちを切らさないように臨みたい」と、ルカHCの視線は第2戦に注がれている。さらに、「8月からハードワークを続けてきたことで、(レギュラーシーズンの)60試合を戦ってきてもコンディションは整っている。当初のころに比べれば良くなってはいるが、まだ満足できるものではない。しかし、一定のレベルには達しており、どのチームにも負けない自信はある」
A東京の選手が誰もが口にする「うちはどこにも負けない練習をしてきた」という言葉が、優勝を争うチャンピオンシップになり、大きな意味を持ち始めてきたようだ。
文=入江美紀雄