プロバスケットボール選手としてのキャリアをスタートさせた大阪エヴェッサに今シーズン再び戻って来たのが畠山俊樹だ。ディフェンスでは激しいプレッシャーを掛け続けて相手のオフェンスリズムを狂わせ、オフェンスでは果敢に勝負に挑みながらもチームメートを活かすことができるガード選手である。リーダーシップにも秀でており、ハートの強さもあるチームに欠かせない存在。10月27日の千葉ジェッツ戦では、惜しくも敗れたものの15得点4アシストと定評どおりの活躍を見せた。
「新潟(アルビレックスBB)にはすごく残ってほしいと言われていて、自分自身も残りたいという気持ちもあったけど、やっぱりチームに置かれている状況や、自分のやりたいことがもっとできるんじゃないかなと心の中で思っていました。いろいろな経験を新潟ではさせてもらって、2番ポジション(シューティングガード)で出ることも多かったですし、ベンチスタートも経験しました。いい経験を次に活かすにはどうしたらいいのかと思った時、大阪エヴェッサが熱心に声を掛けてくれたので。それならルーキー時代を過ごした大阪で、自分が成長した姿を見せられればと思って移籍を決めました」
古巣に戻って来た理由を率直に語った彼も27歳。チームの中でも中堅の位置となり、大阪をけん引する存在になるという意識を持ち続けてプレーしている。「もう中堅の選手になってきたので、そこの部分は意識しています。それが自分の仕事でもありますし、これまでの経験を踏まえて若手にもアドバイスしてあげています。その分、若手にも気持ち良くプレーしてもらえるようにしたいと思っているので。そういう意味で今日に関しては、長野(誠史)選手や合田(怜)選手もすごく積極的にプレーしてくれたので本当にチームのプラスになっていると思います」と、リーダーシップを発揮することを重要な役割として捉えている。
また、ケガ人が多く、なかなか勝てないチーム状況をこう分析する。
「Bリーグが始まって大阪はなかなか結果を残せていない中で、悪い雰囲気になるとどうしても下を向いたり、悪い方向に考えてしまう。今は、チームとしては苦しいですけど、その状況を理解してみんなで落ちこむことなくポジティブに考えて打開しようとしています。全員がハードワークしますし、本当に(穂坂健祐)ヘッドコーチが目指す40分間ハードに戦うというのをしっかり体現しようとしています。完成形にはまだまだ時間はかかる部分だと思っています。その中でHCが一人ひとりの成長をフォーカスして、コーチングしてくれているので、僕らもその期待にしっかりと応えられるようにしていかないといけないかなと考えています」
最後に「これから期待できるチームになるだろうし、いい雰囲気でチームが一丸になっている」と締めくくった畠山。ある意味、大阪への恩返しとなるシーズン。彼の活躍がきっとファンやブースターへの恩返しになるに違いない。
文=鳴神富一