第7節の横浜ビー・コルセアーズ戦に連勝し、新潟アルビレックスBBは8勝4敗で中地区首位に立った。まだシーズン序盤とはいえ、川崎ブレイブサンダースやシーホース三河の上に位置していることを考えると、「躍進」という表現も違和感なく受け入れられるというものだ。
昨季は最後までチャンピオンシップの枠を争い、確かなステップアップを見せた新潟。ダバンテ・ガードナーを軸としたオフェンス主体のチームであることは周知のとおりだが、開幕節の滋賀レイクスターズ戦や第5節の横浜戦でも見られたように、今季はインサイドアウトで3ポイントをより積極的に狙うようになった。ゾーンディフェンスを多用する横浜に対しては、素早くパスをつなぐゾーンアタックで内外から攻略。起点となるガードナーに頼りすぎることなく、チームオフェンスを機能させている。柏木真介や上江田勇樹といった経験豊富な選手が加わったことも、歯車がかみ合っている大きな要因だ。
アウェーの千葉ジェッツ戦では連敗に終わったが、点差は2戦とも1ケタ。10点以上の差がついてもその都度巻き返し、昨季準優勝の千葉を追い詰めた。同じく黒星を喫した滋賀との2戦目でも、最大20点ビハインドから一度は逆転に成功している。一度流れを明け渡してしまうとそのまま大差をつけられることも多かった昨季までから、選手たちが成長しているのは確か。庄司和広ヘッドコーチも、現時点の成績について「欲を言えばもう少し勝ちたかったが、選手ががんばってくれた結果なのでポジティブに捉えている」と語る。
第5節に試合開始のジャンプボールで負傷したラモント・ハミルトンは2試合の欠場で復帰したが、加入早々ディフェンスとリバウンドで高い貢献度を示した渡辺竜之佑が長期離脱の見込み。また、川崎や三河がギアを上げてくるのは間違いなく、真価が問われるのはこれからだ。かつて三河の主力として何度も優勝を経験してきた柏木は、勝ち進んでいくために何が必要かをよく知っている。
「どの試合でも40分間安定したディフェンスをすること。長いシーズンで疲労も出てくるので、それを徹底できるか。強いチームはやるべきことを徹底できるし、我慢ができる。そういう選手が増えてくれば、先が見えてくると思います」
スターターの出場時間が長い点が喫緊の課題。庄司HCもことあるごとに触れる「セカンドユニットのステップアップ」が、チームの行く末を左右することになる。
文=吉川哲彦