昨シーズン王者へのチャレンジは見事に打ち砕かれ、何をすべきか見つめ直す一戦となった。そう言っても過言でない。11月7日のミッドウィーク、秋田ノーザンハピネッツはアリーナ立川立飛に乗りこみ、アルバルク東京とのB1リーグ第8節に臨んだ。
ゲーム序盤から激しいプレッシャーを掛け続けるも軽くかわされ、ディフェンスが機能しない状況が続いてしまった。特に1対1の場面でしっかりと守りきることができず、簡単に得点を与えてしまう。チームとして一番大切にしているディフェンスが機能しなければ、オフェンスでも連動性が失われ、個人で打開していく形でしか得点を取れない。悪い流れのまま第1クォーターで20点差をつけられると、その点差はどんどん広がっていった。
チームハイの16得点と気を吐いた中山拓哉は「1対1では守れていなかったので、相手に揺さぶられてディフェンスが遅れてしまうシチュエーションが多かったです。コーチが求めることを全然できていなかった試合だったと思います。1対1で守れないと相手にいいボールムーブをされてしまい、オープンでシュートを打たれてしまう。まずそこで負けないようにしないと……。戦術云々の問題だと感じています」と、チームのコンセプトであるディフェンスにおいて1対1で負けないという重要性を口にした。
後半に入ると激しいディフェンスが功を奏す時間帯も増えて盛り返していこうとするが、重要な局面でターンオーバーを犯してしまい、ミスから次々と失点。あっという間にダブルスコアまで点差が広がり、最終的には100点ゲームで敗戦を喫した。
序盤でのつまずきが最終的に大敗につながってしまった昨季王者へのチャレンジ。随所でチームの形からアウトサイド中心に11得点を挙げた下山大地は「ディフェンスで優位に立たないといけないチームで、その中で出だしから相手の得意なことをやらせてしまった。対策していたけど、コーチの指示を設定できなかった僕たちのミスだと思いますし、出だしから徹底できればいい戦いができたと思います。いい時間帯はあって通用した部分もあったけど、それをいかに40分間続けるかが大切。そうしていかないとB1の舞台では戦えません」と出だしの重要性を悔やんだ。
日本バスケの概念を変えようと今までにはないスタイルを用いるジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチは、戦う以前の問題を指摘しながらゲームを振り返った。
「常に戦ってディフェンスで勝つという気持ちを出すチームと、諦めてしまうチームの差が出てしまったゲームでした。A東京はすごくいいチームで、いいコーチの下で戦っているチームだと思っています。このようなチームと戦うには最低限の努力を見せる、勝ちたいという気持ちを出せるのが必要だと思いますけど、そこを出していない選手が何人かいるというのはチームの中で少し問題だと思っています。自分たちのやろうとしているチームプレーをせず、自分の数字を上げようとして自己中心的なプレーをする選手が見受けられるのは非常に危険な状態。ハートを前面に出すとか情熱を表現するというのがチームで足りていません」
選手たちは口々にHCのやりたいバスケットが表現できていないことを改善しないといけないとしていた。HCの言う、気持ちを込めて、チームとして激しいディフェンスを用いて戦っていくのか。奇しくもシーズン序盤、好調をキープしているチームとの対戦が多く続いている。敗戦からいかに学び、自分たちのスタイルを40分間継続して、表現して結果を出すことが今、秋田に一番求められていることである。我慢して継続すれば、必ず花は咲くはずだ。
文=鳴神富一