2019.04.01

2点届かなかった名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、残り8試合にすべてを賭ける

京都との直接対決は通算3勝3敗と痛み分けに終わり、得失点差は-2となった名古屋D [写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 シーズンも大詰めを迎えて熾烈な戦いが繰り広げられている中、西地区2位を巡る争いも激化の一途をたどっている。B1リーグ第31節の京都ハンナリーズ名古屋ダイヤモンドドルフィンズの激突は、2位の京都が第1クォーターに攻守で圧倒して第1戦を先勝。星2つ差となった3月31日の第2戦は最後の1秒まで必死の攻防が繰り広げられた。その背景にあったのは、これがレギュラーシーズン最後の対決であり、前日まで京都3勝、名古屋D2勝という対戦成績だ。

 梶山信吾ヘッドコーチが「チームディフェンスを徹底することと、エナジーを出すこと」を重視したという言葉のどおり、名古屋Dは立ちあがりで11-3と先行。京都も岡田優介の外角シュートで一度は同点に追いつくが、そこから名古屋Dが再びスパークした。得意の速攻と3ポイントで京都を飲みこみ、第1クォーターは22-14と前日と正反対の展開となる。第2クォーターに入ると名古屋Dはさらにハッスル。ジャスティン・バーレルのプットバックダンクや笹山貴哉の連続3ポイントが飛びだし、前半終了時で49-31とリードは18点まで広がった。

試合をとおして8本の3ポイントを放った笹山 [写真]=B.LEAGUE

 実はこの試合、その“18点”リードが名古屋Dにとってはスタートラインだった。前日までの直接対決5試合の得失点差が、京都のプラス19点。名古屋Dとしては3勝3敗の五分に持ちこむことが絶対条件であり、その上で最低でも19点差をつけなければ、最終的に勝率で並んだ場合に京都を下回る順位になってしまうのだ。そんな中、第3クォーターはバーレルが立て続けに3つのファウルを犯して不穏なムードも漂ったが、張本天傑菊池真人の奮闘で踏みとどまり、67-49と18点差をキープして最後の10分を迎えた。

 笹山やヒルトン・アームストロングのファウルトラブルにも我慢を重ね、一時は20点差にした名古屋D。勝負のラインとなる18点差に戻った残り2分23秒以降は互いにタイムアウトを取り合って次の1点を狙ったが、名古屋Dは痛恨の3ポイントを許すなど踏ん張りきれず、最終スコアは85-68と勝ったものの、あと2点届かなかった。

アームストロングはファウルトラブルに陥りながらも16得点15リバウンドを記録 [写真]=B.LEAGUE

 前日発生した右腕の負傷で欠場するはずだったというデイヴィッド・サイモンが浜口炎HCとの話し合いの末に強行出場するなど、この試合は京都も必死だった。サイモンはフリースローを本来のシュートハンドではない左手で打つなどしながらも15得点9リバウンド。「“18点”を守るために戦った」と割りきった浜口HCは「彼がいなかったら20点差以上ついていたんじゃないかと思います」と安堵の表情を見せた。

 名古屋Dに目を転じると、得失点差で及ばなかったことについては梶山HCも悔しさをにじませながらも「選手たちが40分間集中してファイトしてくれた」と言い、この試合の戦いぶりには満足している様子だった。前日の敗戦から一転して高いエナジーで試合に臨めたことについては、「昨日から修正することがほぼなかったので、ミーティングでは『自信を持っていこう、チームで戦おう』と言いました。選手にも一言ずつしゃべってもらったんですが、前向きな言葉ばかりだった」と、スタッフ陣も含めてポジティブなムード作りができていたようだ。

 ただ、この勝利で星1つの差に押し戻したことも事実だが、残り8試合で京都を勝率で上回らなければならなくなったことも確か。梶山HCは勝負の4月に向けて手綱を締め直す構えだ。

「目の前の試合すべてで、今日の出だしのようなディフェンスをやっていかないといけない。昨日なぜできなかったのかということをもう一度みんなで考えて、チームとして、個人としてやるべきことを共通認識として持っていきたいと思います」

2年連続でCSの切符をつかめるか [写真]=B.LEAGUE

文=吉川哲彦

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