4月20日、ホーム・ブレックスアリーナ宇都宮に秋田ノーザンハピネッツを迎え、長く厳しい60試合目のレギュラーシーズンを終えた栃木ブレックス。この最終節は両者とも試合前に順位も確定し“消化試合”という様相も想像できたが、秋田は最後まで持ち味のアグレッシブさを存分に発揮。プライドを持って戦いに挑まれた栃木は受け身になってしまう場面があり、前半でビハインドを背負う。それでも後半に入って持ち味のディフェンスが機能して逆転。まるでチャンピオンシップのような好ゲームが繰り広げられた。
試合後、栃木の安齋竜三ヘッドコーチは対戦相手であった秋田への敬意を払いながらゲームを振り返った。「レギュラーシーズン最後のゲームで相手が最大の激しさを持って戦ってくれて、チャンピオンシップのようなゲームができました。チャンピオンシップに臨む為へのメンタルやプレーレベルが達しておらず、それを秋田さんが目覚めさせてくれました。後半は自分たちのやりたい事が展開できたのを考えると、川崎(ブレイブサンダース)戦へつながる40分間でした」。
安齋HCはハーフタイムで「どっちがチャンピオンシップに出場するチームなのか分からない」と檄を飛ばしたと話してくれたが、それでも初めて60試合とおして指揮を執った今シーズンに関しては満足している表情を見せた。「少し不安もありながらでしたけどチームを作っていく段階ではそれなりに自信を持ってレギュラーシーズンに入りました。選手たちが僕のやりたいバスケットをシーズンとおしてずっと遂行してくれて、必死に付いてきてくれたというのがすごく大きかったですね」。
栃木にとっては初年度以来、リーグ2度目の制覇へ向けここからが本番だ。指揮官は、やはり勝利のポイントを栃木のベースであるディフェンスと強調する。
「基本的には全てはディフェンスからで、いいディフェンスからトランジションオフェンスにつなげていくのが自分たちのスタイルです。今日もこのパターンで流れをつかみました。ディフェンスの強度を高める部分はどのチームが対戦相手でもやるべきですが、それぞれのチームに素晴らしい選手がいっぱいいます。相手に合わせながらどのようなディフェンスを仕掛けていくのかがポイントだと思っていて、ルールをしっかりと決めてどれだけ遂行していけるのかというのがポイントです」
最後に川崎戦へのスカウティングに関する質問をぶつけると、「もうすでにやっていますけど(笑)、全てはまだ決まっていないのでこれからですね」と笑顔で答えてくれた安齋HC。自分たちがやって来たディフェンスへのプライドを持ちながら再び狙う頂点。まずはイエローに染まったホームアリーナから戦いはスタートする。
写真・文=鳴神富一