2019.05.02

継続か、変革か…2シーズン連続でCS初戦敗退となった川崎ブレイブサンダースの行方

川崎は2季連続でCSクォーターファイナルで姿を消すこととなった [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 シーズン序盤から苦しみながらも「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」進出を中地区2位で決めた川崎ブレイブサンダース。同クラブのチャンピオンシップでの戦いは、2シーズン連続でのクォーターファイナル敗退という結果に終わった。

 北卓也ヘッドコーチは今シーズンを振り返って「たくさんの方々が応援してくれて、さらにホームの雰囲気も変わり、すごくうれしかったです。でも、そのファンに優勝を見せることができずに申し訳ない気持ちでいます。クラブスタッフなどいろいろな努力を支えてくれた方々に非常に感謝しています」と感謝と謝罪の気持ちを最初に口にした。続けて「我慢をする」ことが、今後チームが強くなるポイントだと語る。

「やはり今シーズンはニック(ファジーカス)が帰化した部分で勝たなくては……、というプレッシャーを選手も感じていたと思います。そのアドバンテージを活かすことがなかなかうまくいかず、フラストレーションがシーズンとおして溜まっていたと感じています。我慢ができずにイライラして崩れてしまうという場面もあり、今後強くなるためにはメンタル面で我慢して、タフになれるように改善しないといけないです。選手たちはそれでも水曜日の試合が多くあり、スケジュールもタフな中で耐えて戦ってくれましたが……」

メンタル面での改善が必要と話した北HC [写真]=鳴神富一

 司令塔の篠山竜青は「本当に多くのファンがホームでもアウェーでも駆けつけて後押ししてくれて、自分たちへの後押しを僕がチームに入団して一番感じられたシーズンでした。皆さんのパワーを感じましたし、最後の最後まで大声援でサポートしてくれてすごく感謝しています。Bリーグ初年度に栃木(ブレックス)さんとファイナルで戦いましたが、2シーズンでこれだけの差をつけられたのかという悔しさを感じています」と率直に語った。それと同時に危機感を抱いていることも話した。

「僕らは今まで移籍で選手を獲得するのではなく、大学から新人が加入して育てるスタイルを続けてきました。そのスタイルでチームとして今シーズンは上位チームから勝利を奪えず、トップに食いこめませんでした。簡単なことですが、バスケットへの意識や自分たちの伝統でもあるディフェンスなど大きく意識を変えないといけないです。あの初年度の悔しさを超えて、今は大きな危機感を感じています」

 日本代表も含めて絶対的なエースであるファジーカスは、苦しみながらシーズンを終えた。「試合数が多かったので平日にしっかりと休もうと思い、それによってシーズン最後まで戦えました。でも、昨年の夏に手術をしてトレーニングが自分の中でしっかりとできませんでした。それでなかなかシーズン中に調子が上がらなくて、今シーズンは自分らしいプレーが全然できなかったと思っています。ですので、今年の夏はしっかりとトレーニングを積んで9月のワールドカップには新しいニック・ファジーカスを皆さんにお見せできるようにしたいですし、そこから来シーズンにつなげていきたいと思っています」と強い決意と約束を我々にしてくれた。

ワールドカップでは‟新しいニック・ファジーカス”に期待したい [写真]=鳴神富一

 川崎は大きな変化を遂げようとしている、今シーズン感じたこの悔しさを晴らすために、懸命にバスケットに向き合ってここがレベルアップしていくしかない。きっと来シーズンの彼らが目の色が全く変わっているはずだ。

 さぁ、ここから這い上がろう。

文=鳴神富一

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