5月4日の千葉ジェッツとの「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」セミファイナル第1戦。栃木ブレックスの鵤誠司は、試合をとおして両チーム最多となる計17本のフィールドゴールを放った。
スターティングファイブに名を連ねた鵤は、立ちあがりから自分が打てるタイミングとなれば積極的にアウトサイドからシュート。第1クォーターでは2ポイントと3ポイントをそれぞれ3本放ち、5得点を記録した。「ファイナルにつながる試合なので、思いきりやるだけだった」と意気込んでこの試合に臨んだという鵤。しかし、試合は1点ビハインドでスタートした第3クォーターで11-19と差をつけられ、最終スコア67-75で敗れた。
「千葉さんにトランジションを出されたくなかったが、トランジションを多く出された時間帯に点差を離されてしまったのが敗因」と振り返ったとおり、栃木は相手の強みである速攻からの得点を9得点に抑えたが、そのうち7点を第3クォーターから第4クォーターの序盤で献上。最終クォーター開始3分15秒時点で、この試合最大となる17点ビハインドを背負った。しかし、栃木はここから粘りを見せる。同3分47秒に後半3回目、最後のタイムアウトを取ると、安齋竜三ヘッドコーチから「自分たちがやるべきことやらないといけないし、大勢のファンの皆さんが応援してくれている。だらしない試合だけはするな」と発破をかけられ選手たちは奮起。そこから比江島慎、渡邉裕規、竹内公輔らが中心となって追いあげを図り、鵤も速攻からのレイアップ、竹内のバスケットカウントをアシストした。
「最後の時間帯は点差を離されて終わることなく、もう1回踏んばることができたので明日につながるゲームになったと思う」
この言葉は試合後、鵤だけでなく安齋HCや渡邉らも異口同音に口にしており、栃木は後がなくなった状況でもまったく下を向いていない。それは、「今シーズンは連敗していない」(渡邉)という事実がチームに自信を与えてるからだ。
17本のフィールドゴール中、成功は5本と確率的には振るわなかったが、約27分間の出場で計11得点3アシスト、1スティールにターンオーバー1つというスタッツを残した鵤。チームのオフェンスを活性化させる働きは、試合序盤で14-4と先手を取れたことからも及第点の出来と言えるだろう。
「アタックしていける選手が数少ない中で、僕とか比江島選手とかがしっかりとリングにアタックすることによってオフェンスのリズムができる。明日もそういったところはしっかりと表現していきたいです」
5日の第2戦は、鵤誠司の出来が勝敗を左右するかもしれない。
文=小沼克年