昨年12月中国湖北省・武漢市で原因不明の肺炎患者が確認されたことに端を発し、4月7日には日本政府が緊急事態宣言を発するまでに拡大した新型コロナウイルス感染症。5月4日には同月末まで緊急事態宣言の延長が決定されるなど、未だ収束には時間を要すると推測されている。
この未曽有の危機の影響で多くのスポーツイベントが中止や延期に追い込まれているのは既報の通りだが、観戦の楽しみを奪われたファンはもちろん、プロアマを問わず、積み上げた成果を発露する場を突然に奪われたアスリートたちの悔しさたるやいかほどか。取り分けて、学生スポーツに励む選手たち、特に最終学年の高校3年生を思うと、その心中を察するにあまりある。
「現役最後の試合がなくて悔しい」「学生時代の思い出が…」ということだけが、学生スポーツへの影響はではない。高校3年生にとって各都道府県で開催されるインターハイ予選などは、各会場に足を運ぶ大学関係者のへのアピールの場となっていた。大学バスケの舞台で活躍する夢を持つ選手たちが、夏の最後の一伸びによって、大学バスケへの門戸を開く機会として重要な意味をもっており、事実、このチャンスをものにした学生が少なからず存在していた。
また、高校最後の試合で悔しい想いをして、その想いをバネに試験勉強に励み、名門校の門を叩いた学生も、ある意味で「夏の最後の大会」が次のキャリアへと導いたと言っても過言ではないだろう。
これらの状況も踏まえ、『バスケットボールキング』では、微々たる支援ではあるものの、学生自らが投稿したプレー動画集などをTwitter、Instagram、Tiktok等のSNSに「#バスケを止めるな2020」をつけた動画の投稿があれば、これら動画の拡散に協力することで、スポーツ推薦を引き寄せるための支援を行うことはもちろん、過去に、自らの売り込みで推薦の道を勝ち取った現役、OB選手や、学力での進学によって大学での部活動を続けた選手らへのインタビュー記事などを掲載し、同じく競技のキャリアに悩む高校生たちのモチベーション向上につながるようなコンテンツを展開する『#バスケを止めるな2020』プロジェクト始動する。
アピールの機会という点で、競技キャリアの継続を課題とするのは、なにもバスケットボールだけの話ではない。ラグビー界では、日本ラクビー協会のタレント発掘活動の中心人物のひとり、野澤武史氏もこの状況に危機感を抱いている一人だ。野沢氏はラグビー専門メディア『ラグビーリパブリック』(運営:ベースボールマガジン社)の取材に応じ、「こうした状況下で、高校3年生が自身のプレーをアピールし、次のステージでもラグビーを継続できる場を作ることが大事だと思っています。各大学やトップリーグのリクルーターが全国の有能な選手のプレーを目にする機会を増やすことは、日本ラグビーの発展に貢献するもの」と語る。
現状を打破するために野澤氏が起こすアクションが『#ラグビーを止めるな2020 プロジェクト』。この動きにラグビー界のメディアでは『ラグビーリパブリック』が賛同し、協力を宣言している。
現状起こった問題はバスケ、ラグビーだけの問題ではない。多くの賛同者が広く拡散してくれることが、大きなエナジーとなり、必死に打ち込んできた競技のキャリアを止めてしまうことがないよう一助になることに期待したい。