2019.03.27

世界初となる声優の3x3公式リーグ「SJ3.LEAGUE」はとても新鮮で面白い

CLU+CHの2連覇で幕を閉じた『声優Jrバスケ3x3 SJ3.LEAGUE 2019春』 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 皆さんは、声優による世界初の3人制バスケットボールリーグ、「SJ3.LEAGUE」をご存知だろうか。日本バスケットボール協会(JBA)公認のリーグであり、レフェリークルーもテーブルオフィシャルはJBAから派遣され、さらにはボールもコートもルールも全く同じ。あくまでも声優が3x3をファンの前で真剣にプレーするリーグである。

 3月24日にアニメや漫画のシンボル「トキワ荘」があった東京都豊島区・南長崎の南長崎スポーツセンターにて『声優Jrバスケ3x3 SJ3.LEAGUE 2019春』と題して第2回の公式戦が開催。9チームが参戦し、声優としての仕事や勉強をしながら練習を重ねてこの日を迎えた。バスケと声優という世界は全く違うが、同じエンターテインメント。この2つがどう融合して、アリーナにはどんな世界が広がっているのか。全く想像もつかない中で足を運んだ。

 アリーナはとても温かい雰囲気で、ブーイングなどは一切なし。集まったファンは一生懸命プレーする姿に、配られたハリセンを使いながら選手たちに声援を送っていた。惜しいシュートには一瞬アリーナが落胆したような雰囲気に包まれていたが、すぐさま「がんばれ」や「惜しい」などというポジティブな大歓声に覆われる。アリーナには“推しメン”と言われる、応援したい声優を見に来ているファンが多く、バスケに関心があった人は少なかったかもしれない。それでも時間が経つにつれて、バスケを見るということにも慣れてきた感じもあり、声援がどんどん大きくなっていった。みんながすべての瞬間に対して敵、味方なく、親心みたいな思いを持ちながら“推しメン”を後押ししてバスケも楽しむ。アリーナ全体でこのリーグを盛りあげようとする雰囲気はすごく新鮮であったし、バスケを見て好きになり始めた頃の純粋な気持ちが蘇ってきて感動した。

声援を送る観客 [写真]=鳴神富一

 MCやDJもいて他の3x3と全く同じエンターテインメントの世界が広がっていた。唯一違ったのはここが声優のリーグであって、アリーナで流れているのはアニソンなどの曲だったこと。MCをしていたバスケ好き声優の駒田航さんが「もう半年前とは違い、レベルが上がっていてすごい」というように、ここからより試合を重ねていくと全体的にレベルが上がっていくだろうなと感じた。レフェリーが選手たちにルールを伝えながら試合を進めていくなど、優しく丁寧に試合を裁き、時折見せる笑顔も印象的だった。

 準決勝あたりからは激しいコンタクトが多く、意地と意地のぶつかり合いが見られて、普段見せる可愛さとは違った真剣な表情やプレーに、集まったファンも固唾を飲みながら試合を見守っていた。決勝はCLU+CH(クラッチ)とTweedia(ツイーディア)の対戦となり、激しい攻防が繰り広げられた末、CLU+CHが12-9のスコアで勝利を収めて開幕戦に続いて2連覇。その決勝で対戦した2チームにはそれぞれバスケ経験者がいた。初戦から少し違う動きを見せていたので気にかけていて見ていたのだが、試合後に話を聞く機会ができた。

 1人目は小学2年生から7年間バスケ経験があり、その後7年間のブランクを経てプレーしていたTweediaの竹内ゆうか選手。「またバスケができて願ったり叶ったりで、2度目の青春みたいな感じ。メンバーで真剣に練習して、試合できて、皆さんに喜んでもらえるのはうれしいし、本当にありがたいです。練習は月に数回しながら、ブランクで体力が落ちているので週1回はジムに行って、まずは体力強化をしています。現役時代にできたことができなくて、それを強化したりしながら手探りでやっている感じです。今後はBリーグの選手と一緒にプレーしたり、海外でも試合ができればと思っています」と笑顔で答えた。

竹内ゆうか選手(左)にとっては「2度目の青春」だという [写真]=鳴神富一

 そしてもう1人は連覇を果たしてMVPを獲得したCLU+CHの町田美優選手。彼女は京都精華女子高校や京都選抜の一員として全国大会に出場した経験があり、このリーグの中では一つ抜けた存在だ。「本音を言うと、前回優勝したのもあってプレッシャーがすごくて。チームや私を抑えに来るのもわかっていたので連覇できて良かったです。まさか声優になってバスケができると思っていなかったので、驚きもあるけどワクワク感が強いですね。『優勝以外は何もないと思え』と父親から試合前に連絡が来ていたので、いい報告ができます。今回バスケと声優のどちらか好きで見に来てきてくれた人が、もう片方に対して興味を持って楽しんでもらえたらと思っています」と、経験者だからこそのコメントを残した。

チームメートと喜びを分かち合う町田美優選手(中央) [写真]=鳴神富一

 全く相対するコンテンツが融合して、新たな価値を産む。とても素晴らしい1日だったということを、ここに伝えておきたい。次回は10月6日に南長崎スポーツセンターで開催されることが発表された。ぜひ一度聖地に足を運んでもらいたい。

文=鳴神富一