TOKYO DIMEが3x3をPRするイベントを渋谷ヒカリエで開催、岡田優介「3x3と5人制バスケを並列にしたい」

岡田はクラウドファンディングを実施し、渋谷ヒカリエでのイベントを成功させた

Bリーグが閉幕し、バスケットボールは3x3のシーズンに突入する。6月9日の「3x3. EXE PREMIER」開幕に先立ち、岡田優介がオーナーを務める「TOKYO DIME」が渋谷ヒカリエでPRイベントを開催した。このイベントは『渋谷のど真ん中「渋谷ヒカリエ」にバスケコートを作りたい!』との岡田の呼びかけでクラウドファンディングを実施。開始からわずか4日間で目標金額である100万円を突破。最終的に目標の倍額となる200万円の支援を集めた。 いちクラブであるTOKYO DIMEが渋谷ヒカリエを借りてまで開催する3x3普及イベントの狙いとは――。今シーズンを”3x3元年”と銘打ち、これまで以上に精力的な活動を展開する岡田優介オーナー兼選手に話を聞いた。

取材・文=山口晋平

今回の目的は「競技全体の普及・PR」

――今回このイベントを開催しようと思った理由を教えてください。

岡田 3x3の普及と宣伝が目的です。うちの3x3チーム(TOKYO DIME / OSAKA DIME)のPRでもあるんですけど、競技全体の普及・PRにつながるようなイベントができたらいいなというのをずっと考えていました。3x3.EXE PREMIERが開幕するタイミングでもあるんですが、以前から開幕直前に「3x3のシーズンがこれから始まるよ」というPRもしてみたいなと思っていたということもありますね。

――「競技全体の普及・PR」とはかなり大きな目的です。それをいちクラブのオーナーという立場の岡田選手が企画された狙いとは何でしょうか。

岡田 もちろんクラブとしてはDIMEのPRをすることは必要だと思います。ただ、3x3ってまだまだ小さい市場で、知らない人も多い競技なんですよね。そういった小さい市場の中で自分たちをPRしたところで、大きな効果は生まれないと思うんです。もっと市場全体を大きくするということが、結局はDIMEの発展にもつながるはずですし、まずはそちらを考えるべきです。自分たちだけが出し抜こうとか、大きくなってやろうと思うことは、結局自分の首を絞めることですから。3x3というマーケット自体が広がっていく必要があると考えています。

――今回このイベントが、まさに“渋谷のど真ん中” ヒカリエという素晴らしい環境で行うことができたわけですが、この場所を選んだ理由はあるのでしょうか。

岡田 単純にヒカリエが好きで、普段から訪れているんですけど、ヒカリエができたばかりの頃、この広場を見たときに「いつかここでバスケができたらな」って思ってたんですよね。それと、渋谷駅から僕のお店(『Pizza & Sports DIME』)に行くときにいつもヒカリエを通るので、ほぼ毎日の、そういった身近な場所でバスケをしてみたいと思っていました。

――3x3という競技が普及していくことによって、プレーヤーやバスケファンを含む、バスケットボールにとってどういう意味やメリットがあると思いますか。

岡田 バスケットボールという大きな枠で見たときに、相乗効果で市場を拡大させることができるのではないかなと思います。うまくシーズンがズレていますので、ホットな状態で終わったBリーグからそのままバトンタッをして3x3のシーズンに突入して、3x3で熱い夏を過ごした後に、そのままアツアツの状態でBリーグの開幕戦にまたお返しするというようなことができますね。日本のバスケットボールが一年中、熱いまま回せる。オフシーズンというのはどうしてもファンの皆さんが離れやすい時期ですので、そこの隙間を埋めることが3x3だけでなく、バスケットボールという大きな視点で見た場合に、非常に意義のあることだと思います。

Bリーガーたちの3x3参戦は僕の狙いどおり(笑)

――今シーズンの3x3.EXE PREMIERにBリーグの選手が多く参戦したり、日本代表に原修太選手(千葉ジェッツ)が入ったりと大きな変化がありました。3x3や日本のバスケ界にとってどういう意味がありますか。

岡田 すごく大きな意味があります。まあ、僕の狙いどおりなんですけど(笑)。何を隠そう、僕はもう何年も3x3のことを言い続けてましたし、第一線でプレーする自分が3x3でプレーすることやその魅力を伝え続けることによって、他の(Bリーグの)選手たちにも響くはずだと思ってやってきました。もし僕が何の活動も起こさずにここまできていたら、選手たちは正直参入しづらかったと思います。やはり「盛りあがってるように見える」、「これはやれる」という雰囲気を作り出さなきゃいけない。まんまとみんなが乗っかってきてくれて(笑)、「3x3って面白いんじゃないか」とか「よく聞くようになったな」となってきて、最近ではもういろいろな選手が参入してきた。選手が参加することに抵抗感がなくなってきたんじゃないかということは、1年前と比べても強く感じますね。

――3x3とBリーグなどの5人制バスケはどういう関係であるべきでしょうか。

岡田 バスケットボールの中の並列関係ですね。僕は目指したいところがあって、簡単に言うと競泳の自由形と平泳ぎのような関係になりたいと思っているんです。そういう関係性になれば3x3はまた一歩前進だなと。

――同じ競技のなかのカテゴリーや種目の違いというようなイメージをお持ちということですか。

岡田 そうですね。現在はどうしても5人制のバスケがあって、その下にあるようなイメージがありますよね。自由形と平泳ぎっていうと、同じ競泳のなかで互いに並列に地位を確立していますよね。5人制に対してそこまで持っていけたら3x3は成功じゃないかなと思います。

――今回のイベントの実現や、Bリーグ選手の3x3への参入など、ここまで来るのにいろいろなご苦労があったと思います。どういった点に力を入れてこられましたか。

岡田 まずは知ってもらうということ、それと情熱を感じてもらうというか、本気度をどれだけ感じ取ってもらえるかというところですね。最初は「遊びの延長でやってるんでしょ」とか、本気で見られてなかったこともありました。日本では往々にして一つのこと以外をやろうとすると、残念ながらそのような見られ方をされてしまうんですよね。実は会計士を目指すって言ったときも同じような反応だったんです。

――ですが、現在は今回のイベントでも協賛されている各企業をはじめ、大きな協力が得られるようになってきました。やはり情熱だとか、いろいろ知っていただくための活動だとかいう部分が実を結んできたということでしょうか。

岡田 そうですね。スポーツチームというのはすべて同じだと思うんですけど、やはり蓄積が大事なんですよね。新しくできたチームが何でもできるわけではないですし、小さなことからコツコツ地道に続けていくということが、信頼や理解を得たりすることにつながったんだと思います。それを情熱を持って実行してきたことが、5年目で少しずつ形になってるのかなと感じます。

常識にとらわれずに、3x3の形を見つけていきたい

――3x3がオリンピック競技に採用されたということで、今後3x3にこうなって欲しいというような将来像はありますか。

岡田 やはり常識にとらわれずに、3x3の形を見つけていきたい。例えば皆さんがイメージしている、3x3の選手たちの報酬のもらい方とかですね。BリーグやNBAはクラブと契約を結んで、クラブから報酬をもらうんですが、僕はそれだけが一つじゃないと思っています。より個が強調されるというか、ゴルフとかテニスとかそういった賞金が得られる、そういう風になるんじゃないかなと思っているんですよね。チームというのはもちろんあるものの、国内外問わず個人としていろんな大会に出ていくと。そういったことができるフットワークの軽さやコンパクトさというのが3x3の魅力なんですよね。

――それはコート外のところでも活かされますよね。

岡田 そうですね。4、5人のチームですから、海外遠征に行きやすいというの大きなメリットです。国際マッチも組みやすい、そういう特性があるんですよ。おそらくコスト的にも3分の1以下で移動できるんです。それでも国際大会としての価値というのは5人制バスケと一緒だと思うんですよね。例えば日本対韓国で“日韓戦”を開催するとしたら、国同士の戦いの価値というのは一緒だと思っています。そう考えると、3x3の方が効率的にいろんなビジネスや興行ができる可能性が増えるはずです。本当にうまくやれば、僕は5人制を超える可能性もあると思っています。

――最後に、今回のイベントもクラウドファンディングという形で一般の方からも多くの支援を受けたと思います。みなさんにメッセージをいただけますか。

同イベントには川嶋勇人や藤高宗一郎らが所属するOSAKA DIMEも参加

岡田 本当に予想以上でした。今回はお金が集まらなくてもとにかく赤字でも自分たちでやろう考えていて、何とかイベントの認知を高めたいと思っていました。クラウドファンディングというのはもちろん資金調達が目的なんですけど、PRの効果も高いですよね。ああいうふうに大々的にやることによって、「DIMEが何かやっているぞ」とみんながアクセスしてくれました。ですから、この趣旨に賛同して支援してくださった皆さんには本当に感謝しています。こういった皆さんに支えられたイベントができるのだから、ここからは僕らの責任として、イベントの目的を最大限に発揮して、3x3の普及発展に努めていきます。これを機会にぜひ3x3の試合を観に来ていただければ、よりそのサイクルが回ると思います。応援よろしくお願いします。

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