【Bリーグ開幕特集】名古屋ダイヤモンドドルフィンズ③「梶山HCのオフェンシブなバスケットボールを極めます」張本天傑キャプテン

3シーズン目の開幕を目前に控えたBリーグ。過去2シーズンで得た成果、反面浮き出てきた課題、その両者を昇華していくことでクラブはさらに進化を遂げていくはずだ。それをまさに実現しようとプロジェクトを立ち上げたクラブがある。名古屋ダイヤモンドドルフィンズだ。バスケットボールキングでは開幕に向けて名古屋Dが企画する施策を紹介するとともに、ヘッドコーチと選手に今シーズンに臨む意気込みを聞いた。クラブ代表が述べたチーム改革を図るといった第1回「フランチャイズ”名古屋”の夢を拓くクラブに」、梶山信吾ヘッドコーチに今シーズンの展望を聞いた第2回「ファンを惹きつけるアーリーオフェンスの確立」に続いて、第3回は新キャプテンに就任した張本天傑へのインタビューをお伝えする。

文＝入江美紀雄
写真＝本美安浩

初のキャプテン就任も張本らしいキャプテン像を模索する

　まさに”満を持して”という表現がピッタリするのではないだろうか。名古屋ダイヤモンドドルフィンズの”顔”とも言える存在の張本天傑がついにキャプテンに就任した。ただ意外と思えるかもしれないが、張本のバスケ人生の中で初めてキャプテンに就いたという。「昨シーズンが副キャプテンで今シーズンはその”副”が取れて、ちょっとした昇格という感じですね。今は代表活動が多くてチームを留守にしてばかりですけど、うちのチームは副キャプテンの笹山（貴哉）を筆頭にキャプテンキャラのメンバーが多いので、あまり心配はしていません」。

　初めて重責を担うにもかかわらず、いかにも張本らしい自然体な受け止め方だ。「うちは若い選手が多いので、声をかけたりは元々していました。例えば、試合中に『ちょっと気持ちが落ちているかな』と感じたら、声をかけていましたから。でもこれからはもう少し意識的に周りを見るようにしていくつもりです。また、ビシッと言わなければいけない時もあると思いますが、シンプルに伝えて、あとはみんなで頑張ろうという雰囲気を作っていきます」。

　リーグのレギュレーションの変更により、今シーズンはクォーターごとに出場できる外国籍選手の数が2名と固定され、帰化選手の扱いが日本人と同じになり、それだけに張本のパフォーマンスがクラブの成績に大きく影響されるのではないかと予想されている。「元々派手なプレーをするタイプではないので、ミスマッチになればそれを突いたり、ボールミートして一気にドライブで抜くプレーをやっていきたいですね。これは代表活動の中でも通用していたので自信を持っています」。

「梶山HCのバスケはどちらかといえば形がなく、選手5人が自由にプレーをするスタイルです。それが昨シーズンのチャンピオンシップでは琉球（ゴールデンキングス）に敗れはしましたが通用した部分もあったし、レギュラーシーズンでも爆発すれば（シーホース）三河にも勝てました。ただ、調子の波が大きかったのは事実。そうならないためにもコミュニケーションを取ることが大切になると思います。とはいえ、若いチームですからどんどん走って、チャンスがあれば3ポイントも狙っていくスタイルを極めていきたいと思っています」

　プライベートでは昨シーズン中に入籍し、この5月には第一子が誕生した。家族ができたことが張本のモチベーションをより上げるファクターになることは想像に難くない。「（家族ができて）今までよりもっと頑張らなきゃいけないなって思います。これまでは自分のためにバスケをしてきましたが、今は家族のために頑張っている感じです。そこが大きな違いですね」。

　今シーズンの目標を聞くと「優勝です」と即座に返ってきた。「メンバーが入れ替わったりしましたが、昨シーズンまでの財産にしっかりと積み上げていきたい。個人的には3ポイントシュートにこだわりたいと思っています。磨きをかけて本数を増やすと同時に、確率も上げていきたいと思っています」。

　クラブの改革を進めているドルフィンズにあって、張本は新しいキャプテン像を確立するかもしれない。新キャプテンの手腕によって若手の高いポテンシャルを引き出すことができれば、台風の目の存在ではなく、優勝候補の1つとして数えることができるはずだ。